加害者は41人までに増加

 パクらは強姦時の写真、実名、住所をネット上に暴露すると脅し、Aさんを1ヶ月に何度も呼び出しては暴行を繰り返した。この悪行は約1年続き、加害者は最終的に41人にまで増えた。

 苦しみに耐えかねたAさんは2004年8月、睡眠薬で自殺を試み昏睡状態に陥った。異変に気づいた母親が事情を聞き出し警察に通報。同年12月7日、犯行に加担した男子高校生全員が身柄を拘束された。

 しかし、警察の対応は被害者の心情を無視したものだった。Aさんは「担当を女性警官にしてほしい」と訴えたが聞き入れられず、男性警官から「密陽の恥をさらした」などの暴言を浴びせられた。さらに、容疑確認のため加害者と1人ずつ対面させられ、「挿入したか否か」といった露骨な質問をされるなど、さらなる精神的苦痛を味わった。

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 韓国国内の反応も冷たかった。事件がテレビで報道されると、好奇心丸出しのネットユーザーが被害者の個人情報を特定し、実名や顔写真をネット上に晒したのだ。

 精神疾患を発症し入院したAさんの病床には、毎日のように加害者の親が訪れ、示談を迫った。当初は拒否していたが、金欲しさに示談に応じるよう説得する父親と親類に折れ、結局彼女は賠償金5千万ウォン(約500万円)の和解書にサインした。

 この決断について後にAさんは、「加害者は憎かったが貧しさから逃れたくて合意した。加害者を許したはずなのに後からあざ笑われたようで、開いた口がふさがらなかった。時間を戻せるなら合意なんか絶対にしない」と語っている。

 皮肉なことに、父親は受け取った賠償金のうち1千500万ウォンをAさんに渡し、残りは合意を勧めた親戚たちと山分けしたという。

 その後、Aさんは強引に退院させられるが、「問題のあった生徒」として多くの学校が受け入れを拒否。ようやく入ったソウルの公立校でも、加害者の母親が執拗に付きまとい、「少年院での息子の処罰を減刑するために嘆願書を書いてほしい」と迫ったため、集団暴行事件の被害者という事実が知られることになった。