「個の質を含めてかなりレベルが違う」E-1選手権で感じた海外組と国内組の“差”

――中盤の選手は、どういう評価ですか。

 海外組中心の日本代表の中盤は、非常にレベルが高く、層も厚い。正直、入り込む余地がほとんどないと思います。

 それでも佐藤(龍之介)は6月のインドネシア戦に出場し、久保タイプで技術が高く、パスを出して、受けることもできるので、期待していました。

ADVERTISEMENT

 ただ、韓国戦は守備の時間が長く、アピールできなかった。でも彼はまだ経験が浅いし、技術もあるので、海外組と一緒ならより活きる感じがしますね。

 望月(ヘンリー海輝)も身体能力は高いけど、まだ戦術理解度が浅く、今すぐ代表メンバーに定着という感じではない。次のチャンスを得たのは、4アシストと結果を出し、プレーでの違いを見せた相馬だけかなと思います。

――E-1の日本代表からは海外組中心の日本代表のレギュラーに割って入る選手がほとんどいなかったということでしょうか。

 正直なところ、今回の代表メンバーとこれまで最終予選を戦ってきた海外組の主力メンバーを比較すると、個の質を含めてかなりレベルが違うなって思いました。

韓国戦に臨む日本代表 ©時事通信社

9月のアメリカ遠征で、E-1組の中から何名の選手を選ぶのか

――海外組と今回の国内組では、どのくらいのレベルの差があるのでしょうか。

 国内組と海外組の選手とでは、2段階ぐらい差があると思います。その基準で言うと、今回のE-1の日本代表で、代表のレギュラーに割って入るような選手はいないですね。

 国内組の選手のレベルが低いわけではないんです。彼らはJリーグで活躍して、それを評価されて代表に来て、香港や中国といったアジア相手に戦えた。

 でも、アジアでも力のある韓国と戦うと良さが出なくなってしまう。それが現状なので、国内組の選手はもっとレベルを上げていく必要があると思います。

――代表の基準がカタールW杯以降、どんどん上がっているということですね。

 自分が現役の頃は、韓国に勝つのに四苦八苦していたけど、今の代表選手の視線の先は世界ですし、海外で各チームの主力になっている。

 それをファンもわかっているので、今回のE-1を見て、このメンバーでW杯はやらないでしょと思っている人が多かったと思います。

 森保さんは今回、招集した選手のいろんな部分を見ているはずなので、9月のアメリカ遠征での試合で、E-1組の中から何名の選手を選ぶのか。その選手がレギュラー組のなかで、どう持ち味を発揮できるか。

 そこで、今回のE-1という大会の成果がひとつ見えてくると思います。

取材・文=佐藤俊