白色コードを切断して、手錠の鎖を補強した
冒頭陳述では、さらに次のように補足されている。
〈(4)被告人は、上記ダンベルのみでは不足すると考え、同月19日午後、恋人であるT(原文実名)と同棲中の博多区内のマンションから、5階通路の扉止めとして使用されていた重さ30.45キログラムの箱型鉄製重り1個を持ち出し、事情を知らない友人の中国人に手伝わせ、自転車及びバスを利用して、これを王亮方に運搬した。〉
また魏ら3人は、事前に準備した手錠の鎖が脆いことにも気づいたようで、魏が王の部屋にあった、携帯電話充電器の黒色コードや電気の白色コードを切断して、手錠の鎖を補強したとある。なお、彼らは6月16日から19日までの間に、数回にわたってAさん方への下見をしていたようだ。
帰宅する家人を待ち伏せ
ここでいよいよ冒頭陳述は、“本件”であるAさん一家4人殺人事件の〈犯行状況等〉となる。事件の概要については、すでに魏の起訴状で取り上げているが、こちらではさらに詳細な犯行内容が語られた(※一部の固有名詞について表記を変更)。
〈1 侵入状況
6月19日午後11時半ころ、王亮は、一人でA方の下見に赴いたところ、駐車スペースにベンツがなかったことから、犯行の好機であると考え、急いで帰宅してその旨を被告人及び楊寧に知らせ、被告人、王亮及び楊寧の3名は、ベンツに乗って帰宅する家人を待ち受けて犯行を決行することに決め、手錠4個、透明粘着テープ2個、ナイフ1丁、モデルガン1丁、手袋3双を準備して徒歩でA方へ向かった。〉
つまり、同家に大人の男であるAさんがいる状況で忍び込むよりも、帰ってくるのを待ち伏せた方がいいという判断だったということだ。さらに〈侵入状況〉は続く。
