Bさんを浴槽内に押し倒し、右手首を押さえ付け

〈被告人と楊寧は、現場に毛髪を遺留すると自分達の犯行と分かってしまうことを恐れ、1階廊下の帽子掛けに掛けられていた毛糸の帽子等をそれぞれ被った。

 

 そして、同日午前零時15分ころ、被告人は、洗面所から浴室に通じる開き戸を開け、人の気配に驚いて振り向いて悲鳴をあげたBに対し、いきなり手にしていた洗面器を蹴りつけ、被告人、楊寧の順に間髪を入れず浴室内に飛び込み、二人がかりでBを浴槽内に押し倒し、浴槽内の湯の中に仰向けに倒れたBの右手首を押さえ付け、他方、楊寧は、浴槽の湯の中に入り、同女の左手や足を押さえ付けるなどして、同女を約10分間にわたり浴槽の湯の中に押し込み、同女を殺害する犯行に及んだ。

 

 被告人及び楊寧の両名は、Bが蘇生することを恐れ、確実に溺死するように、うつ伏せにし、後ろ手にした同女の両手首に準備していた手錠の一つをかけた。〉

被告人と王亮の2人で、Cくんを殺害

 こうして第一の殺人が実行された。その様子からは、初めての殺人であるが、躊躇があるようには感じられない。

殺害されたA家

〈Cの殺害状況

 被告人及び楊寧は、Bを殺害した後、台所及び居間に赴き、居間のカバン掛けにかかっていたバッグ類の中の金品を物色し、Bの財布から現金約1万5000円及びキャッシュカード数枚を抜き取ってこれらを奪った後、直ちに2階に上がり、王亮に、Bの殺害を伝えた。そして、被告人、王亮及び楊寧の3名は、今後の措置を相談し、Cを殺害し、Dを生かしておいて、ベンツで帰宅する家人を脅迫するための人質として使うこととし、Cの殺害は、被告人と王亮の二人で実行することにした。〉

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 3人は、11歳の息子よりも8歳の娘の方が人質にしやすいと考えたのだろう。なお、Cくん殺害が、なぜ魏と王の2人に決まったのかについては、ここで触れられていない。