「確実に殺せるから障害者を狙った」――。クリスマスイブのラブホテルで、出会ったばかりの車椅子男性を襲った22歳女性。

 エリート一家で育ち、パッチリとした目の美人だった彼女は、なぜこれほど残虐な怪物へと変貌してしまったのか。裁判で明かされた歪んだ殺意の正体に迫る。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む

写真はイメージ ©getty

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「死ぬところを見せてよ」

「ヒィーッ!」

「死ぬところを見せてよ」

「何を言ってるんだ!」

 それから包丁の奪い合いが始まり、2人はもつれるように床に転げ落ちた。

「助けてくれ。オレはもうすぐ初孫が生まれるんだ。殺さないでくれ!」

「私が手を放したら、あなたが刺すでしょう」

「オレは歩けない。刺せるわけがない。傷口から内臓が出ているかもしれない。病院へ行かせてくれ!」

 そんな山田さんに麻衣は催涙スプレーを吹きつけ、「ホテルの防犯カメラには私の姿が写っている」「始発にはまだ時間があるのでここに居させてもらう」などと冷静に反論し、その場から立ち去ることを2時間以上も拒否した。

「頼む。救急車を呼ばせてくれ。オレは死にたくないんや。警察には言わないから、今すぐ逃げるんや!」

 ようやく山田さんが119番通報したのはホテルに入ってから3時間半後だった。山田さんは救急搬送中に意識を失い、緊急手術を受けたが、肺損傷や肝臓の一部摘出などで全治4カ月の重傷を負った。