「障害者の敵」

 被害者の山田さんは「こんな女は障害者の敵。社会から隔離して欲しい。今回の事件でトラウマになっている。裁判所にも出廷したくない。彼女に刺されたときのことを思い出してしまう。あまりにも酷い」と訴えているが、麻衣の両親は麻衣の生い立ちについて次のように説明した。

「周りの赤ちゃんと比べると、何かと遅い子だった。言葉も立ち上がるのも反応も遅い。他の子との差がなかなか縮まらない。小学校に入ると、泣きわめいて感情を爆発させるようになった。

 しつけだと思って強く叱り、手を上げても改善することはなかった。コミュニケーションが下手で、友達ができない。学年が上がるごとにいじめの標的となり、不登校になった。それが原因で中学2年生の終わりには転校することになった。高校時代は社会経験のつもりでアルバイトさせたが、長続きしなかった。どうして自分の人生はうまくいかないのか悩んでいて、事件前に発達障害者支援センターに相談に行ったが、その1カ月後に事件を起こした」

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 麻衣を精神鑑定した精神科医は次のように話した。

「父親は障害と理解せず、普通の行動ができないことに怒り、できるように指導するために殴るというやり方を繰り返していた。学校も障害と認識できず、本人が物凄く努力していた。就職先では適応できない業務を任され、失敗経験を重ね、『やっぱり私はできない』『社会から必要とされていない』という疎外感を味わっていた。父親は『こんな変わった子、先生は見たことないと思いますよ』とか、『普通に成長してもらいたかった。思っていた子と全然違うんで』などと話していた。家族にも受け入れられず、孤立を深めた結果、こういう事件を起こした。知的障害が軽度だから、支援が低くてもいいわけじゃない。彼女と会話していても、過去の感情になり、突然怒り出すことがあった」