令和5年、名古屋市で発覚した異様な事件。「弟と連絡が取れない」という通報の先にあったのは、手首を縛られた裸の男性遺体だった。現場の違和感、そして防犯カメラに映った“想定外の人物”。なぜ、こんな結末に至ったのか――。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む

写真はイメージ ©getty

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「弟と長い間、連絡が取れていない」

 その事件の発覚の経緯は被害者である岩波準一さん(当時42)の姉から「弟と長い間、連絡が取れていない」と地元警察に相談があったことだった。

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「LINEの返信はあるが、電話には出ない。仕事も休んでいる。家賃滞納の電話もかかってきた。帰省すると言いながら、一向に帰省しない。LINEのアカウントも変わったし、どうも様子がおかしい……」

 地元警察が行方不明届を受けて、岩波さんが住む地域の警察本部に安否確認を依頼したところ、地元管轄署の警察官が管理会社の社員とともに岩波さん宅を訪問。開錠して中に入ったところ、玄関に消臭剤が置かれ、洋室出入口のドアには外側からふさぐようにガムテープが張られ、クローゼットの前からは体液が流れ出ていた。

 クローゼットの中からは毛布にくるまれた岩波さんの遺体が見つかった。岩波さんは衣服を身に着けておらず、頭にビニール袋をかぶせられ、手首を前で縛られた状態で仰向けに寝かされていた。

 警察は死体遺棄事件と見て、捜査本部を設置。殺人事件も視野に入れて、捜査を開始した。