就寝中の子供達のうち一人を生かして人質に
〈被告人、王亮及び楊寧の3名は、同月20日午前零時過ぎころ、A方に到着し、その周囲を見て回ったところ、被告人は、A方1階仏間のサッシ窓が全開で、網戸になっているのを発見したので、その場で楊寧と話し合い、ベンツに乗った家人の帰宅を待つことなく、あらかじめ屋内に侵入して、屋内にいる家人を制圧し、その上で、ベンツで帰宅すると思われる家人を脅して、キャッシュカードの暗証番号を聞き出して預貯金を引き出し、金員を手に入れることに計画を変更した。
そして、直ちに、被告人、王亮、楊寧の順に道路に面したブロック塀を乗り越えて、A方敷地内に侵入し、前記窓から、土足のまま室内に侵入したが、Aは外出中であり、屋内では、B(Aさんの妻=当時40)が1階におり、C(長男=同11)とD(長女=同8)は、2階の子供部屋で就寝中であった。〉
このとき、Bさんは風呂に入っていた。そこで3人は、躊躇なく彼女の殺害に及んでいる。〈Bの殺害状況〉では次のように明かす。
〈被告人、王亮及び楊寧の3名は、分担して、A方屋内の様子を見て回り、2階子供部屋の2段ベッド上段でDが、下段でCが就寝中であることを確認するとともに、水音等から、大人の家人が1階の浴室にいると知った。
そこで、被告人、王亮及び楊寧の3名は、最終的には家族全員を皆殺しにする計画であり、2階で就寝中の子供達のうち一人を生かして人質にし、ベンツで帰宅するであろう家人を脅してキャッシュカードの暗証番号を聞き出せば目的を達し得ると考え、王亮に子供達を見張らせ、被告人及び楊寧が浴室内に侵入し、家人を殺害することに決めた。〉
つまり、カネを奪う対象はAさんのみであり、その他の家族のうち、Aさんを脅すための人質以外は殺害しておく、との取り決めがあったということだろう。
