動画がバズりYouTubeで生活できるように
――1年間NGOで活動されて、そのままケニアにいらっしゃるんですか?
佐藤 当時はTikTokもYouTubeも収益が得られなかったので、2024年の頭までは半年間ケニアにいて、半年間は日本に帰ってバイトをして……という生活を2、3年ほど続けていました。
――では、完全に移住してからは1年半程なんですね。何かきっかけが?
佐藤 きっかけはYouTubeで、それまではチャンネル登録者数が5000人くらいしかいなかったんですが、「ケニア人が裸足なのはなぁぜなぁぜ?」という動画がバズって、いきなり1カ月で10万人もフォロワーが増えたんです。そこからサラリーマンくらいの収入が得られるようになったので、移住することを決めました。
「警察だ、パスポート見せろ」と絡まれたことも…
――ケニアでの生活は、実際、どんな感じなのでしょう。
佐藤 まず、夜に外を歩くのは危ないです。警察に電話をかけても来てくれないので、自分で身を守るしかない。ケニアの人たちは集団正義の意識がすごく強くて、誰かが物を盗んだりしたら、もうみんなでボコボコにするんですよ。なので翌朝、血だらけで亡くなった人が転がっているのを何回も見ました。
――日本にいると、なかなか想像がつかない光景ですね……。
佐藤 ただ、常に銃声が聞こえるとか、理不尽な理由で殺されたりすることはなくて。基本的には“持ってるもの”を全部投げ出して逃げれば大丈夫なので、自分から盗みをしたら殺される、くらいの治安ですね(笑)。
――ちなみに、今までに経験した最大のピンチは?
佐藤 夜9時くらいにクラウドファンディングが成功したお祝いに、みんなでピザを食べていたんです。そうしたら、酔っ払いが来て「警察だ、パスポート見せろ」と。知り合いが「お前、絶対警察じゃないだろ。今から政府の人を呼ぶから」と言って助けてくれましたけど、その酔っ払いが殴りかかってきたときには命の危険を感じましたね。結局、相手がコケちゃって、事なきを得たんですけど。
――見た目だけで偽物とわかるものなんですね。
佐藤 ケニアでは外国人の足元を見て、警察を装って来る人がすごく多いんですよ。本物の警察であっても、こちらに不備はないのに「これは違反だ」と言ってお金を取ろうとしたり。僕は幸運にもやられたことがないですけど、他の日本人が被害に遭った話はよく聞きます。