「金を稼ぎたければナイロビへ」極端な都市集中型のケニア

――正直、ケニアでの生活は怖くないですか?

佐藤 怖いです(笑)。でも、自分が徹底して管理していれば大丈夫だな、とも思っています。

――きっと、恐怖を上回る魅力があるわけですよね?

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佐藤 やっぱり自由なところが魅力です。一から全部作るのが楽しいんですよ。たとえば、僕はクラウドファンディングで卓球場を作ったんですが、もともとケニアには卓球台がなくて、そもそも「卓球」という言葉すら知らない状況でした。そこに新しく卓球場ができたら面白いなと思って作ってみたり、誰かが持ってきてくれた納豆の菌を使って新たに納豆を作ったり、ドラム缶でお風呂に入ったり。『マインクラフト』みたいな楽しさがあります(笑)。

――実写版『マインクラフト』(笑)。

佐藤 鳥も飼えるし、朝から牛の乳しぼりもできますから。そういったゲームが好きな方にはおすすめです(笑)。

ロバの手綱を引く鬼塚さん(写真=「さとこ国立公園」提供)

――「さとこ国立公園」の動画を見ていると、地方によって同じ国とは思えないほどの地域差を感じます。

佐藤 僕が住んでいるのは、首都のナイロビから車で3時間くらいの場所です。ケニアには「金を稼ぎたければナイロビへ」という考えがあって、日本よりも極端な都市集中型になっている気がしますね。

 ナイロビは、他の国からの投資も盛んで外国人ばかりですし、すごく発展していて地方との平均収入の差が1.5倍から2倍くらいあると言われています。でも僕は、田舎こそケニアだと思っていて。ほとんどの日本人がナイロビにいるんですけど、もっと地方に来てほしいですね。

楽観主義のケニアなら180度考えが変わる

――日本とのギャップもたくさんあると思いますが、「ここは違うな」と一番感じるのはどこですか?

佐藤 どこでしょうね……僕はこっちに居すぎて考え方もケニア寄りになっちゃって、よくわからないっていう(笑)。もはや、日本もケニアもほとんど一緒な気がしてきました。

 ただ、ケニア人は基本的に楽観主義で、「明日は明日でどうにかなるさ」という性格なので、日本人は一緒にいるだけで和むんじゃないかなと。僕はそこがいいなと思っていて、日本からもボランティアにどんどん来てほしいので、その支援に力を入れています。

――日本の若者にとっても、ケニアでボランティアをすることにメリットがある?

佐藤 日本のZ世代の人たちって、すごく自己肯定感が低かったり、スマホの中で生きていたりすると思うんですが、ケニアに来るだけで180度、そういう人の考えが変わるなと思っています。まず、ケニアは人と人とのつながりやぬくもりを感じられる国なんですよ。

――なるほど。