みんなで「助かり合う」というマインド

――コロナ禍でも人と人が関わることを諦めていなかった。

加藤 そうなんです。コロナ禍の最初の頃、私はすごく真面目に家に閉じこもって、ずっと映画を観たりしていたんですけど、これをずっと続けるのは辛いなとも感じていました。それが、上田では、コロナ禍を逆手にとるように、自由に、ポジティブにいろんなことをやっているように見えた。もちろん、中にいる方たちはすごく大変だし、ものすごく働いているので、そこは本当に尊敬するところです。

加藤紗希 撮影:志水隆

豊島 今は本当に関係者の方一人一人が百人力で働いていることによって、この素晴らしい環境が保たれている側面もあるので、ただ「理想的だ」と言うだけではダメだな、とは思っています。

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『わたのはらぞこ』

加藤 上田で活動されている「やどかりハウス」(困った時に誰でも安価にゲストハウスに泊まれる試み)の方たちは、「助かり合う」という言葉を使っています。ケアする側・される側と分けるのではなく、「みんなで助かり合うんだ」と。場面が変われば、助けてもらう側にもなる。そういう「一緒にやっていこうよ」というマインドが、これからの社会ですごく大切だと思わされたし、そうやって生きていけたらな、と感じさせてくれた出会いでした。

 

『わたのはらぞこ』
監督:加藤紗希/脚本:豊島晴香/出演:神田朱未、加藤紗希、豊島晴香、釜口恵太、本荘澪、湯川紋子、髙羽快/音楽・音響デザイン・作詞:三浦康嗣(□□□)/撮影:寺西涼/照明:西野正浩/録音:鈴木万里/スチール:髙羽快/宣伝美術:一野篤/宣伝協力:天野龍太郎、山本梨央、ウスバアミ/ 製作:点と/2025年/日本/105分/8月1日(金)~上田映劇、8月23日(土)~ポレポレ東中野で公開。以降全国順次公開予定

次の記事に続く インディーズだからこそ出来た地方ロケと奇跡のクライマックス撮影——ちょっと疲れている全ての人に観てほしい映画『わたのはらぞこ』【創作ユニット「点と」インタビュー】

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