売れるバンドを作るため、徹底的なメンバー探し

ヒィロ それが僕の高校は、文化祭や体育祭、修学旅行などの学校行事が一切なく、クラブ活動すら存在しなかったんです。そのため軽音部もないし、楽器ができる友達もゼロでした。僕は少女漫画が好きで、矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』の世界を夢見ていたので、愕然としましたね。

 でも、「だったら学校以外の人とバンドを組もう」と思い立ち、インターネットの掲示板や、楽器屋さんのチラシなどでメンバーを探しました。もし高校生活が充実していたら、楽しいことに流されて、僕はバンドマンになっていなかったかもしれません。

 アマチュアバンド活動をしながら高校卒業後はフリーターになり、20歳で初めてプロ志向のメンバーとインディーズバンドを組みました。いくつかのバンドを経て、事務所に所属できるようになったのですが、メンバーの脱退によって活動休止に陥りました。そのとき事務所の社長に「リーダーとしてバンドを立て直しなさい」と激励されて、「売れるバンドにするために、できることは全部やろう」と腹を括りました。

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真ん中の男性が、高校時代のヒィロさん(写真:本人提供)

――“売れるバンド”には何が必要なのでしょうか。

ヒィロ 売れることを意識して、曲を全て書き直しました。そして、完璧なビジュアル系バンドに必要なメンバーの条件を検討しました。

 活動休止したバンドで残ったのは僕とドラムだけだったので、あと3人、どんな新メンバーが加入すると最もバランスがいいかを重視しました。5人並んだときのステージ映えを計算して、ボーカルは身長170cmから175cm、ギタリストの2人は155cmから165cm。また、メンバーのキャラが被らないように、ボーカルは万人受けするかっこいい系、ギタリストは元気で明るいタイプと、中性的な可愛い系。将来的にメイクを薄くしてメジャーデビューすることを想定し、美形のメンバーを徹底的に探しました。

 新メンバーを口説くとき、「1年半後に僕らは必ずメジャーに行く、できなかったら解散する。だから僕についてきて」と宣言し、実際に1年半後の2011年に「ν[NEU](ニュー)」はメジャーデビューを果たしました。