今回、主題歌をRADWIMPSさんに頼んだことをすごく短く説明するなら、野田洋次郎さんが書く言葉は死生観にまつわるものが多い。その印象があったからなんです。
1000人の18歳世代とアーティストが一夜限りでコラボする、「18祭」という特番がNHKにあります。RADWIMPSさんがそのために書き下ろした「正解」という曲があって野田さんの作詞・作曲ですが、いつ聞いても心をグッとつかまれます。
答えがある問いばかりを教わってきたけれど、答えがある問いなんかに用はない。そんな歌詞があります。正解はない「生き方」を生きていこう、そう若者によびかけています。生き方に正解がないとは、まさに「何のために生まれて、何をして生きるのか」で、やなせさんのメッセージとつながる曲なんです。いつか朝ドラをやるなら、主題歌はRADWIMPSさんと思っていましたが、もう心からオファーさせていただきました。
――主題歌のタイトルは「賜物」。野田の詞は「いつか来たる命の終わりへと 近づいていくはずの明日が 輝いてさえ見えるこの摩訶不思議」と歌う。
やなせ作品に通じる“北村匠海さんが発した言葉”
嵩役の北村さんもDISH//というバンドのボーカルをしています。そのライブに行く機会があったのですが、曲と曲の間に挟むMCで北村さんが、「人間、いつ死ぬかわからないじゃないですか」というようなことを話し始めたんです。
死はいつ来るかわからない、だから今を生きるしかない。そんなことを彼なりの言葉で、何千人という観客に語りかけていました。死生観を語る彼を見て、彼の発する言葉はやなせさんが残した作品やメッセージにも通じると思いました。やなせたかし役は北村さんだと思った瞬間でした。
――ところでのぶと嵩だが、後半に入っても一向に結ばれる気配がない。
視聴者の皆さんは、「嵩、何してんねん」とお感じと思いますが、プロポーズは近づいています。そしてもう一つ、これから注目していただきたいのが、嵩と天才たちの出会いです。大森さん演じるいせたくや(いずみたく)、眞栄田郷敦さん演じる手嶌治虫(手塚治虫)ら、才能溢れる天才が続々登場します。