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2018/07/07

岡田武史による「日本代表あるある」

 W杯開幕前、岡田武史は、スポーツライター・飯尾篤史によるインタビューのなかで、ラグビー元日本代表監督・エディー・ジョーンズとの逸話を披露している。

《「オカ、日本人の特徴、どう思う?」と言うから、「美学に酔ってしまって、言い訳にすることがあるよ」と答えたら、「そうだろう」とエディーは言っていた。》

 また岡田は《「醜く勝つぐらいなら、美しく負けた方がいい」というクライフの哲学が日本人は大好き》だとも言っている(注2)。どちらも日本代表あるあるだろう。

ポーランド戦後の西野監督 ©JMPA

 問題のポーランド戦の後、「どこがサムライだ、まるで潔くない、ズルいじゃないか」云々との批判があったようだが、西野は岡田が危惧するような日本人気質に背く戦いをし、名を棄てて実を取る。手短にいえば決勝トーナメント進出を果たしたのである。

 かくして総スカンの「手のひら返し」から、ふたたび「手のひら返し」で称賛を得る。

「裏切られることは手を握った瞬間から承知」

 そうした「“しれっと礼賛”」の風潮のなか、「死ぬまでセックス」特集で知られる週刊ポストは、この独自の死生観からか、腹を切る勢いで自らの非を認める。開幕前には「期待感ゼロ」「ここまで日本代表への期待が高まらないことも珍しい」「おっさんジャパン」「本田は出さなくていい」などと書いてきたことを、7月2日発売号で「『おっさんジャパン』と貶してごめんなさい!」と題した記事で詫びるのであった。

©JMPA

 いいときは人が寄ってくる。調子が落ちると去っていく。そのことにいいも悪いもない。ただ歌い続け、踊り続けるだけ。それが田原俊彦だ。「手のひら返し」にあい、50代後半になった今でも、ステージに立ち、足を上げる。それに日本代表、とりわけお荷物扱いされながら、きっちり本番ではゴールを決めた本田なんかが重なりもする。

「裏切られることは手を握った瞬間から承知」(『田原俊彦論』より)と田原俊彦は言う。10代から芸能界で生き、その世界を熟知する田原俊彦の箴言である。結果を出したハリルホジッチがクビになり、そうして監督に就いた西野だが、W杯でベスト16まで行きながら、「監督は外国人で」が本心の協会に「契約切れ」でクビにされる。協会の性根を知る西野もまたこうなることは4月に監督になった瞬間から承知であったろうか。それでもただ、戦う。これもひとつの、言い訳のない美学におもえる。

©JMPA

(注1)岡野誠『田原俊彦論』によると、件の記者会見では田原は「ビック」と発言する。
(注2)https://russia2018.yahoo.co.jp/column/detail/201806050007-spnavi/

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