まつなみ 全国でも数少ない女性隊員の訓練地だったので、好意を寄せてもらうことも多かったと思います。訓練の名目で一緒にランニングをしながらデートをする人達もいました。

看護師として激務を乗り越え、海外へ

――大学卒業後は、予備自衛官補を続けたのですか?

まつなみ 看護師になると決めていたので、予備自衛官補は大学卒業を機に辞めて、名古屋大学の附属病院に就職しました。消化器内科を経て、血液内科で血液の癌を専門にみていたので、症状の重い患者さんが多かったです。亡くなった方達のことは今も忘れられません。自衛隊もそうでしたが、「人の助けになりたい」という気持ちが強いので天職だったと思います。仕事一筋で6年間過ごし、ある日突然「海外に留学しよう」と思い立ちました。

ADVERTISEMENT

「ある程度一人前になれたかな」と実感を持つことができたので、次のステップを探したかったんです。学生時代にロサンゼルスに留学したことがあったので、「今度はNYに行こう」と決めました。とりあえず1年間の語学学校に申し込みましたが、通ってみると物足りなくなり、現地の短大を受験しました。

©山元茂樹/文藝春秋

――短大では何を学んだのですか?

まつなみ 医学を専攻していました。短大を修了すると就労ビザが降りるのですが、卒業後は日本に帰る予定でした。ところが、学校が卒業生の履歴書を開示していたので、マンハッタンのある病院から「看護師の採用面接を受けませんか」とオファーがきたんです。「英語の練習になるかも」と気軽な気持ちで行ってみたら、「週明けから出勤してね」とまさかの即採用でした(笑)。

――マンハッタンの病院で働いてみて、どうでしたか?