まつなみ 周りの人達はみんな知っているので、小道具の脚立を持って出社すると大笑いされます。今はヘッドハンティングされて米国の医療機器メーカーで働いています。お笑いライブのために休んだり早退することを快く許してくれるので、その分全力で働いています。

 現在は、医療用レーザー機器の使い方をレクチャーしながら病院に販売する仕事をしています。海外出張が多く、日本中の病院を駆けずり回る毎日です。上司には、「私が芸人として有名になれば、会社の知名度が上がって売り上げが増えるよ」と言って理解してもらっています。

 実は今度、世界中の社員が集まる全社会議がアメリカで開催されるので、そこで「とにかく明るい安村」さんのネタをやりたいと思っているんです。肌色の全身タイツにブリーフ姿で。CEOに「少し時間をもらえないか」と打診中です。

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「次にやりたいこと」を探さなくなった

――周りの芸人からは、どう見られているのでしょうか。

まつなみ 一緒にお笑いライブに出ている芸人仲間には、「見た目もお金も全部持っていていいね」と言われることがあります。でもお笑いの才能はお金では買えないし、勉強してどうにかなるものでもありません。お笑いという土俵の上では同じ立場ですし、私はむしろ周りの芸人さん達が羨ましいと感じることが多いです。私はお笑いのことを何も知らずに31歳で始めたので、コントや漫才に詳しかったり、演技が上手い芸人さん達の方が、よほど優れていると感じます。

――お笑いをやめようと思ったことはないですか?

まつなみ 絶対にやめません。何十年かかっても売れたいと思ってます。売れるまで15年、20年かかる芸人さんは沢山いますし、おばあちゃんの芸人さんも需要はありますから。だから周りで芸歴10年くらいでやめる人がいると「もったいないな」と感じます。

 これまで自衛官、看護師、海外留学と、次々と「やりたいこと探し」をしてきました。でも、お笑いを始めてからは、新たなやりたいことを求めなくなったんです。芸人としてのゴールはないと思っていますし、やっと本当に自分のやりたいことを見つけられたんだと思います。

――今後の目標はありますか?