父から虐待を受けていた犯人

 高橋は幼少期から中学時代まで、父親の虐待を受け続けていた。すりこぎ棒やまな板で殴られ、真冬に服を脱がされ外に放り出される。そんな様子を母親はただ黙って見ているだけだった。当然のように性格は歪み、高橋自身も弟に暴力を振るう。1996年、15歳のときに両親が別居。

 2年後の1998年には追い出されるように家を出て1人暮らしを始める。暗澹たる暮らしに転機が訪れるのは翌1999年6月。入学した静岡大学人文学部法学科夜間コースの所属ゼミで、年上の女性Aさんと出会う。彼女は心優しい性格で、高橋が悲惨な生い立ちを話しても突き放すどころか、同情し涙を流してくれた。生きてきて初めて触れた人の優しさ。高橋は彼女に恋心を抱き、やがて2人は交際関係に発展する。

写真はイメージ ©getty

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 しかし、出会いから1年半が過ぎた2000年12月、予想もしない事態が発覚する。Aさんが体調不良を訴え受けた病院の検査で、がんを発症していることが判明したのだ。入退院を繰り返しながら治療を続けること2年、2002年10月に彼女は前出のSクリニックに救いを求める。同クリニックは自然治癒力を高める独自の理論に基づいた代替医療を行っており、彼女は藁をもすがる気持ちで院長に勧められるままクリニック2階のKで高額の浄水器を購入する。