スポーツブランド「アシックス」会長の廣田康人氏が、開催中の大阪・関西万博にボランティアの一人として参加していた。廣田氏は「文藝春秋」9月号で、そのボランティア経験を通して経営者として得た気付きと学びについて語っている。
「5日間の参加が必須だったので、ゴールデンウィークを利用しつつ、平日も3日間休暇をもらって行ってきました。会長がボランティアで3日も休むなんて、社員たちは呆れているかも知れませんが、どうしても行ってみたかった」
ボランティア経験を通して気付いた「伝え方の大切さ」
参加した5日間のうち、3日間は会場係として、残りの2日は迷子センターの受付係と車椅子の貸し出し係を担当したという。ボランティアの経験を通して気付いたのは、「伝え方の大切さ」だった。
「僕は会社では会長なので、指示をされることはありません。それが今回は20、30代の若いスタッフから指示を受けて動きました。久々に指示される立場になって、忘れかけていた『指示を受けて動く』ときの気持ちを久々に思い出しました」
「結局、受け取る側が言葉を受け止めてくれなければ、コミュニケーションは一方通行になってしまいます。上に立つ者は自分の肩書きからいったん離れて、目線を変える。万博でのボランティア経験は、あらためてその大切さに気づかせてくれました」
箱根駅伝で「着用ゼロ」という大きな挫折も
廣田氏がトップに就任して以来、V字回復を遂げているアシックス。2021年には箱根駅伝で自社製シューズ「着用ゼロ」という大きな挫折も味わったが、3期連続で過去最高益を更新し、現在の時価総額は2.7兆円超。これは2017年末の約8倍という急成長だ。
いまでも現場感覚を忘れないという廣田氏の仕事哲学が詰まったインタビュー「万博覆面ボランティアの五日間」は、8月8日(金)発売の「文藝春秋」9月号及び、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されている。
出典元
【文藝春秋 目次】大座談会 保阪正康 新浪剛史 楠木建 麻田雅文 千々和泰明/日本のいちばん長い日/芥川賞発表/日枝久 独占告白10時間/中島達「国債格下げに気を付けろ」
2025年9月号
2025年8月8日 発売
1800円(税込)


