「食事は欠かさないが、3分の1程度、口にして後は残す。塩辛い食べ物は好まず、キムチも洗って食べている」(ソウル新聞7月6日)
これは、先日報じられた、朴槿恵前大統領(66歳)の拘置所での姿だ。
来る20日、朴前大統領の控訴審が最終弁論を迎え、早ければ8月には、友人、崔順実氏とともに判決が言い渡される見通しとなった。
昨年10月に裁判をボイコットしてからというもの、法廷には一切姿を現わさず、時折、腰痛のために大学病院を訪れてはいても、そんなニュースも紙面の片隅に。まるで始めから存在しなかったかのように存在感が薄くなっていた朴前大統領だが、その拘置所暮らしの一端が、ソウル新聞で報道された。
毎日なにやら書き続けている朴槿恵
記事によると、毎日、1時間ほどの徒歩運動や体操をしているそうで、拘置所に収監された当初は、「『風のファイター』などの漫画や、徳川家康を題材にした日本の大河小説『野望』、韓国小説『土地』などを読んでいた」が、「最近では、健康ものの実用本なども読んでいる」という。ちなみに『風のファイター』は極真空手の創始者の大山倍達をモデルにした、100万部を突破した韓国のベストセラー漫画で、『土地』は韓国最高傑作といわれる大河小説だ。
テレビはあまり見ることがなく、1日に10~20通ほど受け取る手紙から外の情報を得ているようだといい、ともかく、毎日、何かを書き続けているそうだ。
実の妹や弟の面会は頑なに拒否しているが、かつての弁護団のメンバーとだけは何回か面会しているとも報じられた。
韓国を揺るがした崔順実事件により、韓国史上初めて弾劾・罷免された朴前大統領が逮捕されたのは2017年3月31日のことだった。その約2週間後の4月17日には、企業からの収賄罪などの罪で起訴され、ソウル拘置所に収監された。
拘置所での待遇を国際世論に訴えるものの……
ソウル拘置所での生活ぶりが明るみに出て、VIP扱いと揶揄されたのは昨年10月。きっかけは身柄釈放を巡る攻防だった。
韓国では刑事訴訟法で被告の身体的自由を侵害しないという理由から勾留期限が設けられており、最長6ヵ月となった昨年10月には、朴前大統領の身柄は釈放されるものと見られていた。ところが、異例の延長に。中道系の全国紙記者はその背景をこう解説する。
「法に則れば身柄は釈放されるべきでした。それが留め置かれたのは、裁判所がたぶんに現政権の顔色を窺ったからだといわれています」