――事前に説明をされたり、親御さんがロケに同行したりという話はなかったんですか?
紗綾 説明されていたんだと思うんですけど、私は認識していませんでした。うちの親も少しぼんやりというか、おっとりしている人なので、「撮影頑張ってね、いってらっしゃい」といった感じで気持ちよく送り出された記憶はあります(笑)。撮影に同行した大人は事務所のスタッフとマネージャーさん、社長さんでした。
――泣きながら、でもしっかり初仕事をこなしちゃったんですね。
紗綾 そうなんです。いわゆるイメージビデオというものだったんですが、そのDVDが売れないことには、その後の芸能活動を続けられないと言われました。嫌々ながら、でも売れますようにと願いながらなんとかこなしちゃったんですよね。
メンバー3人とも泣いちゃって、映像には「なんなんだろう、これ」という感じで全員ブスッとした表情で映っていて、笑顔は一つもありませんでした。でもその憮然とした表情が「大人びている」といってウケたみたいです。
DVD発売前に写真が出回り、日中関係の緩衝材に
――そのDVDの完成後、発売に向けてプロモーションなどが展開されたわけですか?
紗綾 それがしていないんですよ。DVDが発売される前に、中国の反日運動の件でネットでバズって、結果的にプロモーション活動をすることなく、話題にしていただいたんです。
――2001年ごろから高まっていた中国における反日運動の最中、反日ウェブサイトの電子掲示板に、紗綾さんの写真と共に「反日のおいたをしないでください」というコメントが掲載されるや反日活動が激減。日中関係の摩擦解消に一役買ったなどと言われ話題になりました。
紗綾 DVDが発売される前に、ネットに私の写真が出まわっていたみたいですね。当時は北九州に住んでいる普通の小学生でしたから、携帯電話も持っていないし、ネットも見ていません。人から聞いて初めて知ったぐらいで、全然実感がなかったんです。
でも、ファーストDVD発売のキャンペーンで、東京で初めて開催したイベントには、会場に入りきらないほどの人が殺到して、東京ってすごいなぁと驚きました。いままで仕事をしてきた中で、最初のイベントが最も印象深い経験です。
――その後の運命がかかっていた、DVDの売れ行きは……。

