――青山氏は自衛隊機が開発中のミサイルを積んで、日航機をソ連の爆撃機に見立ててターゲットにしたという仮説を立てていますが、自衛隊機の訓練等で民間機を標的に見立てるような事はありましたか?
船場 ないですね。これは即答です。訓練でターゲットが必要な時は、ターゲット機を出すんですよ。T-4(練習機)であったり、F-15同士だったり。どっちが敵役、どっちがファイターって、後でそれを交代したりね。そんな訓練をしますけど、その辺を飛んでいる飛行機をターゲットにするのはまずしないです。それはもちろん常識というか、人道的な面もあるんですが、それ以前の話で訓練の効率です。いつどこで民間機が飛ぶか分からない状況下で、そんな不確定な要素で訓練に航空機上げてたら、「上がったけど何もなかったから訓練できなかった」というオチもあるじゃないですか。
「シーカー(誘導装置)が違うから無理じゃないですかね」
――想定と異なる飛行をする可能性もあるわけですからね。
船場 だから、そんな非効率なことはしないです。F-15だと1時間の飛行で200万円くらいかかると言われています。それだけの税金を使って、そんないきあたりばったりな訓練やるかっていうと、ちょっと効率的にどうですかね。
――こんな質問するのも申し訳ないんですが、地対艦ミサイルのSSM-1で航空機を狙えるでしょうか?
船場 シーカー(誘導装置)が違うから無理じゃないですかね。まあ、レーダーシーカーですけども、船を追いかけるロジックと、航空機を追いかけるロジックは全然違うので……。難しい話をすればキリがないですが、大きさが全然違うしスピードも違う。飛行機の速度からすれば、船相手は地上の静止物を撃つに近いんですよ。相手が飛行機の場合、相手の進路の予測位置に向かって飛んでいかないと当たらないんですよ。SSMにそれが出来るかって言われたら、ロジック違うから多分無理ですよね。
自衛隊の運用上の話ですが、実弾でも発射できる模擬弾でも、とにかく飛行機からモノを発射するときに携わる人の数って膨大なものですよ。

