――では、もしF-4が2機で民間機を追尾するようなミサイルの試験をしたとします。それに要する人員は総勢でどのくらい必要でしょうか?
船場 試験飛行というくくりにした場合、まず通常の航空機の運用に携わる人数は必要です。パイロット、機付の整備、飛行隊の人がいて、運航、管理、整備、運用ですね。それに命令を下す指揮系統の航空団もしくは群の人、要するに一個基地分ですよね。試験だから、それにプラスしてメーカーの人たちであったり、データを追いかけるテレメータとかの係の人。さらに実運用では管制が絶対に必要ですし、あとは地上で航跡を追う人とか……。
まあ、ざっと1000人は下らないんじゃないでしょうか。直接手に触れる形で携わっている人でいえば100人200人かもしれませんが、全体ではやはり1000人近くいるんじゃないですかね。昔よく言われたんですが、「お前飛ばすのに1000人は要るんだぞ」って。これはあながち変な数字ではないと思います。試験に携わってなくても知っている人も入れれば、もっと多いかもしれません。
「そんな秘密を守り通せる人なんているんでしょうか」
――仮にそんな秘密のミサイル試験があったとして、それだけの人が口をつぐんでいられるかと言ったら、ちょっと無理ですよね。
船場 無理だと思います。それに、当時でも無線オタクがいたと思うんですよ。通信を聞いていた方もいるんじゃないですかね。通常の管制通信は昔も今も(傍受可能な)アナログ無線だと思うんですよ。
――青山氏の仮説では、自国民が死にかけているのを前にして証拠隠滅を自衛隊員が行っている訳ですが、自衛隊ではそういう非情な作戦を行うためのマインドにする訓練って行っているんでしょうか?
船場 そういうのはないです。ある意味で中途半端な組織なのかもしれないですけど、「服務の宣誓」にあるくらいですよね。身を挺して国を守りましょう、国民を守りましょう。もうこれだけがベースです。
――そういった非情な作戦向きのマインド訓練もないのに、多くの隊員が関わって国民を見殺しにして不祥事の証拠隠滅を行う。そんな命令を受けた場合、必ずどこかから漏れてしまいますよね。
船場 漏洩するでしょうね。命令だから従わなければいけないという部分、人道的というか常識人的な部分で葛藤はありますので、仕方なく命令を守ったとしても、私ならリークするだろうと思います。そういうことをなくすため、世論という力をもらうため。そうじゃないとひとりで対抗できないんでね。逆にそんな秘密を守り通せる人なんているんでしょうか。
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