窓が開けられない夏場の清掃は「地獄」

――夏場の清掃はかなり大変なんですよね。

小島 夏は1日も経てばもう遺体の腐敗が始まります。においは強烈だし虫も多いので、窓を開けられないのがかなりつらい。ハエが飛んで行ってお隣さんの洗濯物なんかに止まったら、体液がついちゃうんですよ。なんの病気を運ぶかもわかりませんし。

 だから虫を全部殺して、消臭してからやっと窓が開けられるんです。エアコンがない家なんて特に、30分に1回は休憩を入れないとこっちが熱中症で倒れちゃいます。

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作業中、防毒マスクをつける小島さん(写真=本人提供)

――想像しただけで地獄のようです。

小島 しかも防護服に防毒マスクもしなきゃいけない。もう暑くて暑くて。マスクの中に汗が溜まって息もできなくなってくるし。スタッフみんな痩せますよ、夏は。

――ちなみに熱中症が死因だと、どこで亡くなることが多いんですか?

小島 やっぱりベッドが多いですね。コミックに描いたのも、エアコンが嫌いで扇風機で過ごしてる女性の方だったんですけど、その方もベッドで亡くなって。マットレスが体液を吸って重くなってました。

 他のケースでは、自宅で練炭自殺しようとして命を取り留めた男性が、その後ビールを飲んで寝たんですね。そしたら、練炭って熱いじゃないですか。それで熱中症になってそのまま亡くなってしまったこともあって。夏場、喉が渇いたからと水ではなくビールを飲んでから寝るのはちょっと気を付けたほうがいいかもしれないですね。

 気温が高かったらエアコンはつけて、水を飲むのも大事です。喉が乾いてなくても定期的に飲んでほしいですね。

トイレで亡くなると発見してもらえない

――夏は熱中症で、逆に冬はヒートショックも怖いですよね。小島さんはご自身で制作した「孤独死」現場のミニチュア作品でも、ヒートショックの恐ろしさを伝えていました。

ヒートショックによるトイレでの“孤独死”をテーマにした小島さんのミニチュア作品本人(写真=本人提供)

小島 多いのはやっぱりトイレですね。現場に行くと廊下がすごく寒いのに、便座にカバーつけてなかったり、節電で便座ヒーターの電源を切ってたりするんですよね。それで急激な温度変化に耐え切れず亡くなってしまってる。いきんでそのまま血管切れて座ったまま……という方も結構多くて。

 私の父親も死因は脳卒中だったんですけど、冬場にトイレの前で倒れていたんです。だからもしかしたら踏んばったことで血管が切れて、倒れたんじゃないかなってちょっと思っていて。靴下やスリッパを履いて廊下を歩く、トイレに小さいヒーターを置くといった予防策が大事です。本当に急に起こってしまうことなので。

――作中で描かれるヒートショックの現場は壮絶で驚きました。