特殊清掃人として、これまで2000件以上の依頼を請け負ってきた小島美羽さん。各種メディアで「孤独死」について伝えてきた彼女が、企画・原案を務めたコミックエッセイ『特殊清掃の現場で見たリアルな死』(竹書房)の第1巻を上梓した。
熱中症やヒートショックなど、防げたかもしれない理由で突然亡くなってしまう人がいる。身近に潜む死の危険について私たちは知らなすぎるのかもしれない。ここでは清掃現場の実態を、小島さんに詳しく伺った。(全5回の1回目/続きを読む)
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節電が死に繋がるかも…熱中症で亡くなるリスク
――本作はいわゆる「孤独死」の現場を多く描いていますよね。小島さんが働く特殊清掃業者に来る依頼は、実際にそういったケースが多かったのでしょうか。
小島美羽さん(以下、小島) そうですね。一人暮らしの自宅で亡くなった方の現場を清掃する依頼が半分以上でした。
依頼者は亡くなった方の身内である場合がほとんどですが、においがきつくて部屋に入れなかったり、ゴミ屋敷のような状態になっていて片付けが大変だったり、どうしてもその場を見るのが辛かったりと依頼理由は様々です。
――だから、小島さんのようなプロフェッショナルに依頼するんですね。
小島 個人で行うとなると病気のリスクもありますしね。私たちみたいな業者にいるものといらないものを伝えて、清掃や遺品整理を任せる人は多いんです。
――今回のコミックでは、熱中症が原因で「孤独死」してしまった方のケースが出てきますよね。最近本当に暑いのでかなりドキッとしました。
小島 今の時期は熱中症で亡くなった方の依頼はかなり多くなりますね。特にご年配の方ってエアコンの風が苦手な人が多いですよね。扇風機だけで耐えられた昔の感覚のままエアコンを使わない生活をしたりして。でも体は正直で、結局暑いので脱水症状になって熱中症になって倒れちゃう。
なんなら、エアコンがない家もあったりします。私たちが現場に行ってみると「これはさすがにキツいよね」っていう暑さで、逆にそれまでよく耐えてきたなと。一方で、エアコンがあってもつけない人もいるんですよ。節電してなかったら生きてたんじゃないかなって思っちゃう方もいましたね。

