小島 そうですね。座ったまま亡くなっているので便座に皮膚が付いてるんです。便器の中は真っ黒で、血なのか肉なのか便なのかわからないけど、何かが溜まってる状態になっていて。

 トイレって個室なのでドアが閉まっていると、部屋を覗く人がいてもそこにいるって気付かずに「ずっと旅行にでも行ってるのかな」なんて勘違いしちゃう。発見されづらいんです。でも体液がだんだん外に漏れていって「あれ、おかしいぞ」と。

亡くなった人の“一部”が残っていることも

小島 同じヒートショックでもお風呂で亡くなった場合はまた違います。独特なにおいで、生臭いというかドブ臭い。水はどす黒い茶色に染まっていて、浴槽のヘリやお風呂の壁にびちゃって皮膚が付いていて。長い間水に浸かっているのでズルッって剥けちゃうんですよ。ホロホロになっちゃうっていうか。

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お風呂でのヒートショック死をテーマにした小島さんのミニチュア作品(写真=本人提供)

――ホロホロに……。

小島 警察の方は骨しか持っていかないので肉とかが水の中に残ってるんですよね。そのまま流すと排水溝が詰まって二次災害になっちゃうので、まず網で浴槽内の固形物を掬います。水もすぐ流せないので専用のポンプで汲み上げるんです。

 1回、ポンプが詰まってホースが抜けちゃったことがあって、噴水みたいにバーってなっちゃって。防護服とフルフェイスはしてたんですけど、頭からその水を被ってしまって。もうみんな逃げちゃって、誰もポンプを止めてくれないんですよ。びしゃびしゃになりながら自分で止めました。そんなこともあって、お風呂の清掃は一番大変ですね。

――小島さんが清掃を行うのは既に遺体が片付けられた後とはいえ、亡くなった方の“一部”はどうしても目にしてしまう機会があるんですね。

小島 そうですね。お風呂だけじゃなくて居間とかにも、耳や爪が残ってたりするんですよね。たまに警察の人が忘れていった親指が落ちていたり。床に頭の形がそのまま残ってることもあります。遺体自体は無いけど、その人の“一部”は絶対何か落ちてますよねっていう感じですね。

次の記事に続く 「片付けていくと『電車やアニメが好きだったんだ』とかわかってくる」2000件以上の現場を見てきた特殊清掃人が語る「孤独死」と言いたくない理由

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