特殊清掃人として、これまで2000件以上の依頼を請け負ってきた小島美羽さん。各種メディアで「孤独死」について伝えてきた彼女が、企画・原案を務めたコミックエッセイ『特殊清掃の現場で見たリアルな死』(竹書房)の第1巻を上梓した。
ゴミ屋敷と化した自宅で亡くなる人々は、本当に“孤独”だったのか。コロナ禍で人と人との繋がりが強くなったというのは、なぜなのか。小島さんに詳しく伺った。(全5回の2回目/続きを読む)
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「クロールして移動するしかない」ゴミ屋敷の清掃
――本作では、ゴミ屋敷で「孤独死」された方の現場を清掃するエピソードも取り上げられていました。そういった依頼はよくあるんでしょうか。
小島美羽さん(以下、小島) 私が仕事を始めてからの10年間、変わらずあり続けてますね。玄関開けたらゴミで溢れかえり「どうやって入るんだ」って現場とか。ゴミの中をクロールして移動するしかないようなこともあります。遺体があった“核”の部分までまず到達しなければいけないわけですから。
ゴミ屋敷は「濡れてるタイプ」と「濡れてないタイプ」に分かれるんです。山の中に生ごみ系が含まれるのが「濡れてるタイプ」。それだとゴキブリ類が大量にいるので、作業も遅くなります。私、クロゴキブリが本当に苦手なんですよ。飛ばなくて茶色いチャバネゴキブリは全然平気なんですけど。
――どっちも嫌ですよ……。
小島 ゴミの中から大事な物を見つけなければいけないのも大変で。権利書や思い出の品物、金銭なども残しておかないといけない。だからゴミ屋敷は人も時間もたくさん使います。部屋の大きさにもよりますが、1回につき8人は必要ですね。においを消して片付け完了するまでに1カ月ぐらいはかかります。
――1カ月!
小島 片付けていくうちにリストラ通知書や履歴書が出てきたり、元々は結婚してたけど離婚したんだなとか、この方は心の支えを失って鬱になっちゃったのかなとか、亡くなった方のそういう情報が見えてくるんです。遺族の方にお話を聞くのはもちろん、近所の方もよくお話に来てくれたりするんですよ。それで知ったりして。

