でも自宅がゴミ屋敷状態になっているというだけでは、そこに住む方が社会的に孤立しているとは限らないと思います。自分で「片付けてほしい」って清掃を依頼してくる方もいるんですけど、ふつうに綺麗なお姉さんだったり真面目そうなサラリーマンの人だったり。社交性がある人の家でもゴミ屋敷になる時はなるんですよ。人それぞれですよね。
――その人の内面はその人にしかわからないですね。
小島 ちなみに「自分ではなくてきょうだいや家族の家がゴミ屋敷なので片づけてほしい」という依頼も来たりします。でも物の置き場を知っていたり、いつも座る場所が決まっていたり、そういうルーティンというかクセみたいなものから「あ、多分この人の家なんだな」ってわかることもあります。もちろん言わないんですけど。片付けようと思ってる時点で偉いですもんね。
多分コロナで亡くなっているのに…「死因は不明」
――新型コロナウイルスが流行して緊急事態宣言が出されてからは、小島さんのお仕事も影響を受けたんですよね。
小島 仕事内容はほとんど変わらなかったんですけど、依頼時に「死因はコロナではありません」と言われたのに「多分コロナで亡くなったんだろうな」と薄々感じられるような現場がたくさんありました。
当時、遺品整理の仕事は一気に減ったんです。コロナ禍で仕事が休みになったり、リモートワークに切り替わった人たちが自分でやるようになったからだと思います。でも特殊清掃だけはうちに頼む、みたいな方が増えたんですよね。「コロナで亡くなったわけでない」「死因は不明だ」って言うんですけど「うーん?」ってね。
――事前に「コロナで亡くなった」って言うと断る業者もあるんでしょうか。
小島 私たちは断りませんが、まあ、ありますね。遺族側からすると断られるかもしれない、ぼったくられるかもしれないっていう不安もあると思いますが、わかれば準備もできるので正直に言って欲しいです。コロナ禍前から死因が結核だと言わない方もいたりしたので、基本は防毒マスクと消毒を徹底しているんですけど。
――一方で、コロナ禍になって人と人の繋がりがむしろ増えたと感じることもあったとか。
小島 自宅で1人で亡くなった方の遺体は何カ月も発見されないことがよくあるんです。長い時は6カ月以上そのままになってしまうこともあります。でもコロナ禍になって、1人で暮らす家族がコロナで倒れていないか、家で亡くなっていないかって不安に思う人が増えたんでしょうね。発見が早くなりました。
「孤独死」のことをテレビなどで報道してくれたおかげもあって、遠くに住んでいる家族のところに1週間に1回会いに行ったり、頻繁に連絡を取るようになったりした方が増えて。他人事じゃないんだって気付かされたんだと思います。これは良い変化ですよね。
