2008年にエプスタインが初回の逮捕をされたのち、被害者の女性が声を上げ始めた。その主張を「嘘だ」としたマクスウェルは2015年に名誉毀損で訴えられ、金額非公開の和解金を支払っている。その翌年、マクスウェルは14歳年下の男性と密かに結婚しており、結婚は2020年にマクスウェル自身が逮捕されるまで家族にも知らされていなかった。
夫はマクスウェルの逮捕後に新たな恋人を作ってはいるものの離婚はしておらず、マクスウェルの資産を今も管理していると報じられている。このことから結婚は配偶者特権によるマクスウェルの資産保護が理由ではないかとされている。マクスウェルの純資産は2,000万ドルとも推測されているが、資産の多くはオフショア(税制優遇措置のある国や地域にある口座)にあり、金額は今も定かではない。
マクスウェルがエプスタインに「尽くした」理由
もっとも、マクスウェルがエプスタインに「尽くした」のには他に理由があるとする説もある。マクスウェルが生まれて3日目に当時15歳の兄が交通事故に遭い、以後7年間、昏睡状態となった。両親は生まれたばかりの赤ん坊に目を向ける余裕がなく、マクスウェルは精神的な放置状態に置かれた。
長じて父は9人の子供のうちマクスウェルを最も可愛がるようになったが、どの子供に対しても体罰や厳しい言葉を投げ付ける親だった。その父親の愛情に報おうとしたマクスウェルだが、父は不審な死を遂げた。そこに現れたのがエプスタインだった。
こうした生い立ちと人生がマクスウェルにどのような影響を与えたのかは知る由もないが、被害者となった少女たちへの言い訳にはならない。マクスウェルが “リクルート” し、エプスタインの犠牲者となった女性はマクスウェルを「モンスター」と呼んだ。
「トランプ大統領は不適切な態度を取ったことはない」と証言
「エプスタイン・ファイルを公開せよ!」の声の大きさを恐れたトランプは、7月末に司法省副長官をマクスウェルのいるフロリダ州の最も警備が厳格な刑務所に送り、2日間にわたる面談を行わせた。
面談の際に録音されたマクスウェルの応答が一部公開され、マクスウェルは「トランプ大統領は誰に対しても不適切な態度を取ったことはありません」「顧客リストはありません」と語っている。
副長官との面談の直後、マクスウェルはテキサス州にある、警備の最も緩やかな刑務所に移され、今は恩赦、もしくは刑期の短縮を待ち望んでいる。