エプスタインはカリブ海のヴァージン諸島に私有の島、通称「エプスタイン島」を持っており、自家用機に各界の名士と少女を乗せて飛び、島の邸宅でも性行為を行なわせた。島ではこのフライトは「ロリータ・エクスプレス」として知られていた。今、公表が求められている「エプスタイン・ファイル」の中で最も注視されているのが、どの著名人の名が「顧客リスト」に載っているか、だ。仮に司法省が主張するようにリストが存在しないとしても、顧客たちの名を、マクスウェルはもちろん知っている。
莫大な資金援助と引き換えに少女をあっせん
マクスウェルは1961年にフランスで生まれ、イギリスで育っている。父親はチェコスロバキアからイギリスにわたって成功したメディア出版王。経済的に非常に恵まれた環境で育ち、成績も優秀でオックスフォード大学に進学している。大学の同級生にはボリス・ジョンソン元英国首相の妹がおり、マクスウェルは若き日のボリスとも知己だった。
1991年、父親がニューヨークのタブロイド紙、デイリー・ニュースを買収した際に、マクスウェルは父によってニューヨークに派遣されている。同年11月に父が溺死し(マクスウェルは他殺説を唱えている)、続いて父とともにイギリスでビジネスを取り仕切っていた兄2人が、経営する企業の年金資金を不正流用したとして逮捕されている。
このスキャンダルにも関わらず、すでに渡米していたマクスウェルはイギリス社交界に次いでニューヨーク社交界でも名士となり、エプスタインとも出会っている。
マクスウェルは父の死と兄たちの逮捕により、父の信託基金から受け取る金額を減らされていた。アメリカでも上流階級のライフスタイルを渇望していたマクスウェルはエプスタインのために少女たちをリクルート、グルーミングした。加えて社交界の名士をエプスタインに紹介することも出来た。その代償としてエプスタインから莫大な資金援助を受けていたのだろう。

