司法省がマクスウェルと面談していた7月25日、トランプはスコットランドに飛び、一族の企業が所有するゴルフ場でゴルフを行った。4日間にわたるスコットランド滞在はエプスタイン・ファイル騒動からの逃避とされた。

 しかし、トランプは現地でもジャーナリストからファイルについて質問され、「ファイルは地球上で最悪のクズども、バイデン(前大統領)、ガーランド(前司法長官)、コーミー(前FBI長官)によって管理されていた」と言い、自分の名は虚偽に書き加えられたのだと言い放った。

トランプ大統領のXより

ビル・クリントン元大統領に召喚状を送付する事態に

 8月5日、共和党と民主党の両党で構成される下院監視委員会はエプスタイン事件に関する証言を求める召喚状を、ビル・クリントン元大統領と、エプスタインへの捜査が開始された2005年以後の4政権(ブッシュ息子、オバマ、トランプ第1期、バイデン)の司法長官とFBI長官に送付した。

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 元大統領で召喚状を受け取ったのはクリントンのみで、これはクリントンがエプスタインの親しい友人であり、クリントンの報道官が「クリントンは2002年と2003年にエプスタインの飛行機でヨーロッパ、アジア、アフリカを4回訪問した」「職員や秘書と共にエプスタインのアパートに一度だけ立ち寄った」ことを認めているためだ。ただしエプスタインの私有島やフロリダ州の邸宅を訪れたことはないとしている。

 召喚状はクリントンの妻であるヒラリー・クリントン(オバマ政権の国務長官)にも送付されている。クリントンと同様にエプスタインと親しい間柄であったトランプと、その妻メラニアが召喚されないことを不審とする声が出ている。

 8月6日、JDヴァンス副大統領はエプスタイン・ファイルに関わる政権主要メンバー4名(ボンディ司法長官、ブランシェ副司法長官、パテルFBI長官、スージー・ワイルズ首席補佐官)を招集し、今後の方策を話し合った。

2020年7月2日、米東部ニューヨーク州の連邦検察当局が記者会見で使用した、ジェフリー・エプスタイン(左)と元交際相手ギレーヌ・マクスウェルの写真 ©時事通信社

 莫大な資産と上流社会のコネクションにより何百人もの少女たちを性的にも、精神的にも搾取したジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェル。2人の背後には、まだ名前が出されていない搾取者が大勢、身を潜めているのだろう。搾取者の多くはいずれも社会に大きな影響力を持つ者たちのはずだ。ゆえに米政界は少女たちへの誠実さを捨て、保身のためにのみ右往左往している。

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