メモ公表の翌日、この件をジャーナリストに質問されたトランプは、「いまだにエプスタインについて話しているのか!」「あの変質者のことを? 信じられない!」と、苛立った口調で応えた。トランプがこの話題を葬り去りたがっているのは明白だった。

MAGAもリベラルも「ファイル公開」を求める理由とは?

 だが、MAGAは政府による「ファイル非公開」に激怒し続けている。

 リベラルや民主党支持者の多くは、「トランプとエプスタインは旧友であり、トランプも顧客リストに名が上がっているのだろう」と考えている。したがって、その多くはファイル公開を望んでいる。

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(左から)ドナルド・トランプ、当時トランプと婚約中だったメラニア夫人、ジェフリー・エプスタイン、ギレーヌ・マクスウェル ©getty/Davidoff Studios Photography

 しかしMAGAがファイル公開を求める理由は異なっている。MAGAは、「2人は旧友だがトランプは顧客ではなかった。顧客はリベラル/民主党の大物たちで、だからこそディープステート(=影の政府)一掃のためにファイル、特に“顧客リスト”の公開が必要なのだ」と考えている。

 MAGAインフルエンサーのうち最も激しい怒りを見せたのは、通称「Qアノン・シャーマン」だろう。2021年1月6日のMAGAによる米国議事堂乱入事件の際、顔を赤/白/青にペイントし、毛皮とツノをまとっていたインフルエンサーだ。すでに刑期を終え、出所しているシャーマンはトランプに対し、「ファック、この間抜けのクソ野郎」とXにポストした。アカウントはすぐさま凍結された。

2021年1月6日、議事堂に乱入したアメリカ極右集団。中央が「Qアノン・シャーマン」ことジェイク・アンジェリ ©AFLO

 トランプ本人と親交を持ち、ホワイトハウスに出入りして政策にも強い影響力を持つ極右インフルエンサーのローラ・ルーマーは、ボンディ司法長官の手際を批判し、その辞任を求めたが、トランプ支持を続けている。

 元フォックスニュースの人気キャスターで現在はフリーランスのジャーナリスト/インフルエンサーとなっているタッカー・カールソンも他メディアからの取材において、「自分はトランプをよく知ってる、トランプは性的なことに関わっていない」などと擁護。ただしファイル公開の是非については言葉を濁している。

 司法省とともにファイル非公開を決定したのはFBIだが、そのトップである長官カシュ・パテルと副長官ダン・ボンジーノはどちらもFBI出身者ではなく、MAGAインフルエンサー/陰謀論者だ。トランプが今年初頭に2人を任命した際にはFBI内部からも大きな批判が出た。