石破氏首相は果たして談話を出せるのか? すると3月末に新聞各紙が一斉に報じた。

『戦後80年談話 出さず 首相方針 自民保守派に配慮』(朝日新聞3月28日)

 読売新聞は《国内外で歴史認識を巡る論争を引き起こしかねないことを考慮し、閣議決定による「戦後80年談話」の発出は見送る方向で調整する。》(3月27日)。

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石破政権が「談話」の代わりとして考えたのが…

 産経は《党内では「石破おろし」の雰囲気もくすぶる中で、首相は党内の火種を生むことは避ける方向に判断が傾いたとみられる。》(3月28日)

 というわけで、石破首相には終戦の日に「談話」を出してほしい、出すべきだという声を今もSNSで見かけるが、戦後70年の安倍談話の“上書き“になると言われた石破「談話」を出さないことは3月末の時点で確定的だったのだ。「保守派に配慮」は石破政権の10カ月におけるキーワードなのである。

 その石破政権が「談話」の代わりとして考えたのが「有識者会議」での戦争検証だ。読売は4月にも有識者会議を設けて議論に着手し、8月の成果公表を目指すと伝える。これがいわゆる「メッセージ文書」のことだ。閣議決定が必要ない「メッセージ」発出に切り替えたのである。媒体によっては「見解」とも呼ぶ。

 石破首相はせめて首相個人のメッセージ文書は出せるのか? それが最近の焦点だった。すると8月1日に朝日新聞が次の記事を出した。

【独自】石破首相の戦後80年メッセージ文書 終戦の日も9月2日も見送りへ

 メッセージ発出で保守派のさらなる反発を招き、「石破おろし」が加速しかねないと判断したという。またも自分の地位を守るための政局的な判断なのか?

 この記事が出たあとに石破首相に取材したジャーナリスト数人に聞くと「8月15日に関わらず本人は何らかの見解を出すと言っている」という。逆に言えば8月15日にはメッセージ文書は出せないのだ。有識者会議での検証はコメ問題や日米関税交渉、参院選などの対応で間に合わなかったなど物理的な理由もあったという。