ただ、興味深いのは直近の石破首相は「朝日の記事が出た時点では石破氏は保守派に対して抗うモードに入っていました」(首相取材をしたジャーナリスト)という点だ。
注目したいのは石破首相の気分も徐々に変わるということ
朝日新聞を読んだ人は誰もが、石破首相は保守派に配慮してずっと沈黙するのだと思う。私もそう読んだ。だが記事が出た時点では首相は石破おろしに憤慨していたため、
「8月15日は間に合わないけども文書を出す方向にしたい、となっていたのです」(同前)
だったら最初からやろうよ石破さん、そういうとこじゃないの? とつい思ってしまう。一方で注目したいのは石破首相の気分も徐々に変わるということだ。報道や世論はやはり重要なのだと感じる。保守派に対していつまでも配慮しないモードにもなっている模様。そのモードになるのは少し遅すぎたのではと思えるが、
「もし8月中に退陣を発表しても実際の任務は9月まである。それまでにメッセージを残したいのでは」(同前)
という。
時事通信は8月2日に、
《首相は「80年は一つの区切りだ」として見解取りまとめ自体は諦めておらず、関係者によると、党内情勢を見極めながら、時機を粘り強く探りたい考え。ただ、党内の混乱が続けば、断念に追い込まれる可能性もある》
と伝えた。いずれにしろ政局にらみなのだ。
それにしても「日本は戦争を総括していない」と昔から総括にこだわっていたという石破氏にとって首相在任中に戦後80年が巡ってくるのは天命だったはず。しかし終戦の日に正面からやらず、最後っ屁みたいなタイミングでしかできないことに石破キャラを感じてしまう。
広島と長崎の原爆の日でのスピーチは自分の言葉で話していたことを評価された石破首相。戦後80年メッセージにも自分らしさを出せるのだろうか?
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