8月15日の終戦の日が近づいてきた。ここで戦後80年の首相「談話」と「メッセージ文書」についておさらいしておきたい。混同しやすいからだ。SNSでは今も石破首相に「戦後80年談話を」という声があるが、発出する可能性は無い。それはなぜか? 時系列を追っていく。 

 まず「談話」を出すには閣議決定が必要。戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話、戦後70年の安倍談話のような、閣議決定を経たのが「首相談話」だ。

石破首相 ©時事通信社

今年は戦後80年。石破首相は談話を出すのか?

 村山富市首相は日本による「植民地支配と侵略」に言及して「痛切な反省」「心からのおわび」を表明した。戦後70年の安倍晋三首相は「繰り返し痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明」してきたとした上で、「私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と談話を発出。

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 今年は戦後80年。石破首相は談話を出すのか? 年明けから注目されはじめた。すると2月19日に産経新聞が『戦後80年談話 自民警戒 首相意欲、謝罪逆戻りも』と一面トップで報じた。

 前日の国会で「80年談話」について自民の稲田朋美氏から問われた林芳正官房長官は「発出するか否かは決定していない」「さまざまな観点から考えてまいりたい」と答弁した。石破政権が「肯定も否定もしなかった」ことから産経新聞は「自民党内に警戒感が広がっている」と書いた。「新たな談話を出せば、10年前の安倍晋三首相(当時)の戦後70年談話で終止符を打った戦後の謝罪外交に逆戻りする懸念があるためだ」とも。一面トップで大々的に書くことで「石破、まさか談話を出すつもりじゃないだろうな」という保守派の産経新聞によるけん制にも読めた。