2018年6月26日、高円宮家の三女・絢子女王(27)が日本郵船に勤務する守谷慧さん(32)と結婚の準備を進めていることをNHKがスクープ、その後、マスコミ各社は後追いして一斉に10月29日に二人の結婚式が行われる旨の報道を展開した。「生前退位」報道を代表的な例として、NHKは近年皇室に関するスクープを連発しているが、この結婚報道もまさにそうであった。
翌日の朝刊では、守谷慧さんの人となりが紹介されている。慶応大学文学部を卒業し、日本郵船に勤務していること、父親や亡くなった母親の経歴、そして本人の趣味がマラソンやトライアスロン、スキーなどで、各地で大会に参加していることなど。近年の皇族の結婚では、相手の人格がどのようなものであるのか、紹介されることが多い。また、宮内庁の発表を引用する形で、絢子女王と守谷慧さんの出会いも紹介している。絢子女王の母親である高円宮久子妃の紹介で、絢子女王が国際的な福祉活動に興味を持つきっかけになれば、と引き合わせたという(『朝日新聞』2018年6月27日など)。
その後、7月2日に婚約が内定、宮内庁の加地隆治宮務主管が記者会見した後、絢子女王と守谷慧さんによる記者会見が行われた。それを伝える報道では、より詳しく出会いなどについて紹介され、友人の次のようなインタビューも掲載されている。
〈絢子さまは守谷さんについて「本当に優しくて、自分の考えを持っているところが尊敬できる」と話したという。「お二人ともグルメでお酒も好き。お食事デートを重ねたようです」〉(『朝日新聞』2018年7月2日夕刊)
また、お互いをどう呼んでいるかと質問された様子も次のように紹介される。
〈互いに「慧さん」「絢子さん」と呼んでいるという。守谷さんは「本来は宮さま、絢子さまとお呼びするべきかと存じますが、街中でお呼びすることを考慮するように、というお話がございましたので」と記者団の笑いを誘った〉(『朝日新聞』2018年7月3日)
このように、二人の関係性を示すエピソードなどがほほえましい形で紹介されるのが、近年の皇族の結婚報道の時に見られる特徴である。それも仲の良い、しかし皇族の結婚らしい話題(ここでは呼び方を「さん」にするのか「さま」にするのかという点)があることも多いように思われる。