――ゲリラ撮影のようなものだったのですね。
ジュディ そうです。リハーサルもなく現場に行って、物陰で監督が「あそこで止まって、振り返って、それから右に行きます」といった動きを全部、横で教えてくれるんです。助監督さんがその動きを実際にやってくれて、それを見て覚えていました。そしてすぐ本番の撮影です。もちろん「よーい、スタート、アクション!」なんて大きな声は全然なくて、こっそり「もう入ってください」と言われて始まるんです。
でも、一般のお客様の中で演じるので、コンパニオン姿をしていても、私に気づく人もいるんです。そうすると「え?」という顔をされてしまって……完成した映画にも気が付いた人が何人か映っていますね(笑)。それでもいいか、となったんでしょうけれど。助監督と私と、2回演技をするともう周りの人にばれてしまうので、うまく行かなかったときはしばらく間を空けないとダメでした。別のところの撮影をしてからまた戻って来たり。会場の中を走るシーンも多くて、私にとってもハイヒールであれだけ走ったのは、この映画が初めてだったかもしれません。
――台湾パビリオン内で案内役をされているシーンもありました。
ジュディ あれは隠し撮りではなく、きちんと相手役の方を設定した撮影だったと思います。囲碁棋士の林海峰さんがいらしてお話しする場面がありますが、様々なVIPの方々をご案内している、という設定だったと思います。林海峰さんは後半の重要なシーンにも出られていて、いま思うとすごいことですね。
のちに台湾のプレスが、林海峰さん、王貞治さん、そして私を「台湾華人三宝」と呼んだのですが、この映画で共演できたことはとても光栄なことでした。林海峰さんとの共演は現在まで一度きりです。
――万博会場以外にも、神戸や京都、奈良、北海道など、様々な場所で撮影されていますね。
ジュディ 北海道、行きましたね。台湾などアジアの人たちは雪を見たことがないから、日本の雪のシーンをいれたい、ということで北海道まで行ったんです。でもそこでもまた、ハイヒールで走らされました(笑)。雪の中に足がズボズボ入ってしまって、そのまま雪合戦をするというシーンもあって、自分ではもう笑えるぐらい大変な撮影でした。奈良公園に行ったのも初めてだったと思いますが、鹿せんべいをあげたらすっかり鹿に囲まれてしまって、あんなに積極的になるなんて! とびっくりしたことを覚えています(笑)。

