考えられる規制のしかたとは?

 喧々囂々の議論が続く中、考えられる規制のしかたがいくつかある。まず、国防・安保上重要な土地についてはそもそも外国人の所有を認めず、さらにその範囲を大幅に拡大することだ。対象は現在の重要土地等調査法で制限している自衛隊基地や原子力発電所周辺のみならず、農地や山林、水源地なども規制対象とすべきだ。農地や水源地は食料安全保障上、山林は国土保全上、外国人による不動産所有を禁ずるに十分な理由となるはずだ。

 また日本に居住していない外国人(非居住者)による一般不動産の購入に関しては、一律に課税水準を見直すべきだ。たとえばシンガポールでは外国人が不動産を取得する際、売買契約書に貼付する印紙税を物件価格の60%相当額に設定している。不動産取得税や固定資産税を上げる、神戸市や国民民主党が提案する空室税などによる規制も考えられるが、非居住者の外国人に対して円滑に徴収できるのかという課題がある。印紙であれば取引時に徴収できるので「取りっぱぐれ」の危険も少ない。取り入れてみるべき手法だろう。

 そのうえで、日本に正規な手続きを経て居住し、消費し税金を納めている外国人(居住者)に対してはGATSで定める内国民待遇を保障すればよい。日本は何も協定違反などといって損害賠償を請求されることはないだろう。

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世界に向かって開かれたマーケットでありすぎた日本の不動産

 不動産所有者が外国人に農地や山林を売ってしまうのは、日本人が買ってくれないから仕方なく売却しているという事実についてのケアも必要だ。規制対象となった不動産を所有している人に対しては、国庫により優先的に引き取る制度も、現状の相続土地国庫帰属制度に例外規定などを盛り込むこと等によって、実現が可能と考える。

 日本の不動産はあまりにも世界に向かって自由で開かれたマーケットでありすぎた。国防・安保上の規制は何も基地や原発に限らない。食料や国土保全の考え方を導入して対象を広げ、現行法での調査権などといった腰の引けた規制ではなく禁止すべきである。また非居住外国人による野放図な不動産購入に対しては高率の課税を施すことによって、単なる転売益狙いによる不動産相場への悪影響や違法民泊の横行などによる生活トラブルの防止を行っていくことは、今すぐにでも取り掛かるべき重要な政策だと考える。

 政党内での新たなボス争いなどに熱を上げている場合ではないのだ。