最近、上場会社を中心にアクティビスト(モノ言う株主)の存在感が高まっている。アクティビストとは、本業の業績が期待どおりに成長しない大企業などに対して、戦略の見直しや事業の売却、コスト削減、経営陣の入れ替えなどを提言する人たちだ。
恵比寿ガーデンプレイスを運営するサッポロホールディングスは…
ビールなどの酒類の製造販売事業を展開するサッポロホールディングスに対して、シンガポール系のアクティビストである3Dインベストメント・パートナーズは2023年3月に、不動産事業による収益に頼った経営をあらため、本業に資金を集中するべく、子会社であるサッポロ不動産開発を分離させるスピンオフの提案を行った。彼らが所有、運営する不動産は、渋谷区恵比寿の恵比寿ガーデンプレイス(敷地面積8万3000㎡、建物延床面積47万8000㎡、サッポロ不動産開発保有分は一部)や中央区銀座のGINZA PLACEなど多岐にわたる。これらの事業を本業と切り離したうえで上場させ、計上した収益を本業に投じるべきという提案だった。
恵比寿ガーデンプレイスは、広大な敷地にオフィス、商業、ホテル、賃貸住宅、醸造所などからなる複合施設である。敷地内の中核である恵比寿ガーデンプレイスタワーだけをとっても延床面積で5万2700坪、1フロアの貸付面積で840坪ある大規模オフィスだ。IT・情報通信系のテナントが入居するいっぽうでサッポロホールディングスも自社利用している。アクティビストの目から見れば、多額の賃料収益を期待できる外部に貸さずに自社利用している点および現在マーケットに売却すれば2000億円をくだらない資産価値を今こそ生み出して、それらの資金を本業である酒類製造販売事業に投下すべきとの主張だ。
これに対して、サッポロは2024年2月にサッポロ不動産開発に外部資本を導入することを決め、2024年12月に第一次入札が行われ、現在8月の第二次入札が行われようとしている。この入札にはベインキャピタルと東急不動産グループ、KKRと野村不動産グループ、およびローンスターや三菱地所といった会社の参加が予想されている。
