続けて胡氏は小鵬の海外戦略について説明する。

「すでに30以上の国と地域に進出しているが、2025年末までに60以上に増やす計画で、2033年までには販売台数の半分以上を海外にすることを目標にしている。中近東やアジア太平洋、欧州が強化する市場だ」

 小鵬の2024年の総販売台数は前年比34%増の19万台。このうちオランダやデンマーク、ノルウェーなど、海外での販売は4万7000台だった。2025年の総販売台数はすでに7月時点で昨年の数字を超えたという。

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リスクをとることを恐れない

 現在、中国で勢いのある自動車関連企業は、どこも海外市場へ進出している。中国国内の不動産バブルがはじけて景気が落ち込んだことが大きな理由だが、自社の力がグローバル市場で通用するのか、試そうとしているようにも見える。本来であれば、より規模が大きな米国市場に打って出たいが、米中摩擦により非常に厳しい状況にある。だからこそ、他の地域で市場獲得を狙っているわけだ。

深圳を走るロボタク(筆者撮影)

 中国の自動車産業は1990~2000年代にかけて、海外企業との合弁会社設立でノウハウを得て地力を付けた。今やBYDの世界販売台数は400万台を超し、ホンダや日産を追い抜いた。2023年には自動車の輸出台数が日本を抜いて世界一になった。その台頭ぶりは1980~1990年代の日本の自動車産業の躍進を思い起こさせる。

本記事の全文(約3500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(井上久男「『日本の産業界はもう中国に追いつけない』6年ぶり現地取材で心底痛感した」短期集中連載第1回)。

全文では、以下の内容についてもお読みいただけます。
・「中国寄り」と批判されるかもしれないが…
・配車されたのは無人運転のロボット・タクシー

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