朝ドラの語り、ヒットドラマの刑事役で注目
大きな転機は、2020年のNHK朝の連続テレビ小説『エール』にナレーターとして起用されたことだった。このドラマでは顔出しで出演もしている。その直後に、吉高由里子主演ドラマ『最愛』に事件を追う山尾刑事役として出演。その演技が注目を集めたことで、たてつづけに実写作品への出演が続くことになり、その勢いは『あんぱん』に出演した現在まで続いている。
アニメも舞台もドラマも根っこは同じ
声優と俳優。津田の中で線引きはないという。
「芝居に関しては、アニメも舞台もドラマも根っこは同じだと思っています。もともと舞台をやっていて、そこから突然アニメの世界に入った人間なので、演じることへの違いを特に意識することもなかったんです。ジャンルごとに必要なテクニックはあると思うんですが、やることは同じお芝居なので、スタンスは変わりません」(『女性セブン』2022年10月1日)
その根源にあるのは、10代の頃に感じた「表現したい」という強い気持ちだ。声優・鈴村健一とのYouTube番組では、「とにかく表現衝動があって、『表現したいんだ、なんかよくわかんないけど』と衝き上げる何かがあって」「最初、(筆者注:演技の世界で)食うつもりもなくて」と熱い気持ちを吐露し、鈴村を驚かせていた(鈴村健一の声優のかじりかた 2022年12月14日)。
「表現がしたい」――津田健次郎が描く“夢”とは
どんなに生活が苦しくても、どんなに認められなくても、辞めるという選択肢は一度もなかったと津田は語っている。それは「表現したい」という気持ちがあるから。そして、今も津田の中では「表現したい」というマグマが煮え立っている。その目線の先には、長編映画の世界がある。若い頃は演技をしていく上で、中途半端になるからと封印していた津田の10代の頃からの夢だ。




