約20年前は圧倒的だったTSUTAYA
2005年度時点の大まかなパワーバランスは、図表1の通りだ。
財務的な数字だと、売り上げはCCCがゲオよりひと回り大きく、収益では倍ぐらいの感じに見える。これはゲオの大半が直営店で構成されているのに対して、CCCがフランチャイズ(FC)制をとっていて、地域の店舗を運営する加盟店の売り上げが含まれていないことに留意せねばならない。
CCCのFCを含めたチェーン全体の売り上げに関する公表データはないのだが、この時点でも推計4000億円ほどの規模があったといわれており、圧倒的なトップシェアであったことは間違いない。後発のゲオはCCCに追い付くため、レンタル価格を安く設定して集客しつつ、出店強化で成長を続けていた。しかし、大都市中心地に大型店を構え、文化的発信地としてのブランドを確立していたCCCに対して、ゲオは郊外の安いレンタルと中古ゲームの店、というイメージしかなかった。
CCCとゲオは店舗の売上構成においてもかなり違いがあった。
FC制をとるCCCのデータでは店舗の売上構成が分からないため、当時から最大級のTSUTAYA加盟店となっていた上場企業、トップカルチャーとゲオの売上構成を比較してみよう。TSUTAYAではレンタル、セル(新品販売)と並んで、書籍、文具などが中心の構成となっているが、ゲオは書籍、文具がなく、レンタル、セルに次いで中古メディア、主にゲームが大きな割合を占めている。
1990年代辺りから家庭用ゲームは大流行していたが、新品ゲームソフトの価格はユーザーにとって高かったため、中古品を求める人も多かった。地方から出たゲオはロードサイドの広い店で、この中古ゲームを大規模に流通させ、レンタルと中古ゲーム販売の競合店を駆逐しながら大きくなった。この時、中古品を取り扱っていたことが、後のゲオの方向転換を支えることになる。
ソフトの買い替えが負担になったチェーンのM&A合戦に
2000年代はビデオからDVD、Blu-rayへの転換投資に耐えられず、レンタルショップの淘汰が急速に進んだ時代だった。この時期の両社の沿革を見ても、下位のチェーンのM&Aに明け暮れていた様子がうかがえる。各地の中小チェーンが次々と両社の軍門にくだり、中でもゲオが積極的な店舗網拡大に取り組んでいたことが分かる。
当時は金融危機時代で、貸し渋りによって様々な小売チェーンが借入金を圧縮するため、不採算事業などを売却して返済に充てる事象が起こった。各地の小売業が副業としてやっていたビデオレンタル店の多くが、売り案件となったのだ。そこからCCCもいくつかは拾ったり、FC統合を進めたりしたようだが、中堅中小案件の多くはゲオが買い手となっている。

