買収した企業の中に「宝」が眠っていた

 2000年代にゲオが買収した企業の大半はコンテンツ、ゲームに関するものだったが、そのうちフォー・ユーという企業は「セカンドストリート」という名で中古衣料品などのリユース店を運営していた。同社も元々は古本、中古ゲームが主な事業だったのだが、他社に売却済みで、残っていたのがこのセカンドストリートだったのだ。

 この店が、長い時間をかけて現在ゲオのリユース部門を支える非常に重要な役割を担うことになった。図表5はゲオの売上構成の長期時系列を示している。2000年代後半から少しずつ顔を出しているリユース事業が本格的な成長軌道に乗ったのはコロナ禍前後であり、それまではかなり地道に拡大していたことがうかがえる。

図表5 コロナ禍で一気にリユース部門が成長し、ゲオはTSUTAYAを抜き去った(同前)

 コロナ禍の巣ごもりで、多くの人は家回りの見直しをする時間が生まれた。メルカリなどフリマアプリの台頭も後押しして、リユース市場が急拡大したのが躍進の背景にある。

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いまや売り上げも店舗数も、大差でゲオが勝つ

 一時、コンテンツビジネスの覇者となったCCCは、社会のデジタル化を予測して、ビジネスの軸をポイント経済圏に移そうとした。ビッグデータ時代における経済圏の旗頭を目指したわけだが、デジタルプラットフォーマー、スマホキャリアなどの台頭の前に敗れ去り、今では書店大手としての存在感だけが残されている。

 CCCが目指した未来図は、結果としては身の丈を超えた夢となり、現在は加盟店とともに生き残る道を模索している途上に見える。2023年度のCCC連結業績は既に売上1000億円を割り込み、利益はほぼなく厳しい状況にある。

図表6 立場が完全に逆転したTSUTAYAとゲオ(同前)

 対するゲオは売り上げが4000億円を超え、利益も相応に確保。着実にリユース業界最大手としての地位を固めつつある。レンタルビデオチェーンとしては2位が定位置だったゲオは、地味な業態転換を進めて、リユース需要という鉱脈を掘り当てたのである。