「バラ色の未来」を描いたTSUTAYAだったが……

 全国の負け組店舗を買い集めたゲオは、売り上げでCCC(単独ベース)を上回るところまで拡大することになる。しかし、次第にインターネットで動画を視聴するスタイルが成長し、コンテンツレンタル、セルの売り上げは伸び悩むようになっていき、ゲオの成長も長い踊り場にはまることになった。

図表3 2010年代中盤は踊り場が続いたゲオ(同前)

 このころ、CCCはゲオとは異なる方向へ向かって走り始めていた。

 2000年代初頭こそ、地方チェーンの店舗を追加しているが、途中からはFC向けのコンテンツ供給体制を整備しつつ、異業種大手とのTポイントアライアンス戦略を開始していたり、音楽、映像、書籍、セル、レンタル、そしてカフェとの融合を実現した蔦屋書店T-SITEを始めたり、といった動きを見せている。

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 物理的なソフトを使っていたコンテンツ関連のビジネスが、いずれはインターネット経由に置き換わることを予測していたCCCは、モノを介在した取引が大幅に縮小する前提で、会員のIDを軸とした、今で言うなら「ポイント経済圏」ビジネスがコアになるように変革を進めていった。数千万のアクティブ会員を抱えるTポイントはその後、目論見通り多様な業種とのアライアンスを実現していく。

 もちろん、全てのコンテンツがインターネット経由になるわけではない、という読みもあったのだろう。コンテンツの発信地としてのリアル店舗は必要だ、という思想の下、T-SITEという起点も残し、少しずつデジタルシフトしていく未来を想定したようだ。

 ただ、その結果はご存じの通り。今やTポイントは消滅して「Vポイント」に統合された。片やポイント経済圏のビジネスにおいて軸となったのは楽天、3大モバイルキャリアなどである。

 Tポイントも健闘はした。2016年ごろにはアクティブ会員数5700万人超、提携企業130社以上、店舗数で50万店弱までいったのだが、以降は様々なIDが乱立する中、ユーザーの獲得競争が激化して、Vポイントとの統合を余儀なくされたのである。

 かろうじて残していた店舗事業については、レンタル・セルともに縮小の憂き目に。各地で多くの書店が閉店に追い込まれる中、書店大手としては辛うじて残る、という部分ではある意味でCCCの予想通りであった。

 次の図表4は、前述のCCC加盟店を運営するトップカルチャーの業績と売上構成を長期時系列で示したものだ。

図表4 もはやレンタル事業は負債でしかない状況に(同前)

 セル、レンタルの縮小を書籍その他の増加が補いきれず、近年は赤字続きとなってレンタル事業を終了、店舗網を縮小することに追われている。

ゲオはTSUTAYAと違う「独自の道」を進んだ

 一方、長年にわたりCCCの後塵を拝していたゲオが選んだのは「ポイント経済圏制覇」といった壮大なものではなく、リアル店舗を地道に増やしながらリユースビジネスを拡大するという、極めて地味なものだった。