「第2の災害」を防ぐには?
また倉敷市では、被害の大きかった真備町の川辺橋前に個人からの大量の救援物資が置かれ、自衛隊の通行を妨げるという事態も起こりました。善意によるやみくもな行動が、緊急性の高い支援の妨げになることもあるのです。
防災の専門家には、「被災地に押し寄せる大量の救援物資は第2の災害」と断じる人もいます。厳しい表現ですが、過去の災害では活用できなかった救援物資の処理に数千万円、中には億を超える費用を投じた自治体もありました。
災害支援は「モノよりお金(義援金)」という声もよく聞かれます。モノによる支援の弊害の大きさを考えるとその通りではあるのですが、義援金や募金が被災者に分配されるには一定の時間がかかってしまうのも事実です。
食料、衣類、衛生品など生活必需品の支援については政府や自衛隊のほか、自治体とメーカーが協定を結び、現地からの要請に応じたスピーディーな支援を行うケースも増えています。この場合は中身や分類が明確なので、佐藤さんによる仕分け図もかなりシンプルになります。
図3:要請に応じた協定企業支援物資の仕分け
思いを無駄にしないために
また企業だけでなく、支援実績のあるボランティア団体が独自の物流倉庫を被災地近くに設置し、現地のニーズに即応した分配を行うこともあります。
今回の豪雨災害では倉敷市のように、個人の救援物資の受付を一時休止している自治体が少なくありません。モノそのものを送るのは難しい状況ですが、「必要なモノを届ける団体への募金」という形で、間接的にいま必要とされているモノを被災地に送ることもできます。
たとえばNGO各団体と自治体や企業をつなぐネットワークNGOの JANIC(ジャニック)は、救援活動を行っている各団体のポータルサイトを開設し、それぞれの活動内容と募金受付先などを案内しています。
http://www.janic.org/blog/2018/07/09/emergency_westernjapan_floods/
「いま困っている人をすぐに助けたい!」という思いを無駄にしないためにも、まずこのような窓口に当たることをおすすめします。もしチャンスがあれば、受け付けや仕分けそのものにボランティアとして参加すれば、被災地への大きな貢献となるでしょう。