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西日本豪雨 対応が”後手後手”に回った政権幹部の発言まとめ

2018/07/14
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 200人を超える死者という惨事となった西日本豪雨(平成30年7月豪雨)。13日現在も自衛隊や消防などによる懸命な救助・捜索活動が続いているが、一方で、政府の初動の遅れが批判されており、安倍晋三首相をはじめとする閣僚は弁解に追われることになった。関連する発言を集めてみた。

安倍晋三 首相
「政府一丸となって、先手先手で、被災者の皆さんの生活支援を行ってまいります」

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ツイッター 7月8日

 西日本を中心に記録的な豪雨に見舞われたのは、7月5日から8日にかけてのこと。5日午後、気象庁は異例の会見を開き、週末にかけて「記録的な大雨となる恐れ」があるとして厳重な警戒を呼びかけていた(日テレNEWS24 7月5日)。

 しかし、首相官邸が連絡室を設置したのが6日、関係閣僚会議開催は7日で、災害対策基本法に基づいた非常災害対策本部を設置したのは8日の朝だった。5日の夜には68万人に避難指示や勧告が出されており、6日には264万人に避難勧告、8府県に大雨特別警報が出され、7日の夜の時点で51人の死亡と76人の行方不明が明らかになっていた。

 はたして本当に政府の対応は「先手先手」だったのか? 

 8日の非常災害対策本部での会議で安倍首相は「救命・救助、避難は時間との戦いだ」と語ったが(YOMIURI ONLINE 7月8日)、時事ドットコムニュースの首相動静によると7日の関係閣僚会議は15分で終わり、安倍首相は午後、私邸でゆっくり過ごしている。8日の非常災害対策本部会議は約20分で終わっており、やはり午後は私邸で休んでいた。気象庁が緊急会見を開いた7月5日14時から非常災害対策本部が設置された8日午前8時までを指して「空白の66時間」と表現した記事がSNSで拡散された(犬飼淳氏のnote 7月8日)。

 なお、安倍首相は昭恵首相夫人とともに11日からベルギー、フランス、サウジアラビア、エジプトを歴訪する予定だったが、9日午後に中止を発表した。安倍首相は外遊の実現に最後までこだわっていたらしく、9日正午頃に記者会見を開いた公明党の山口那津男代表は外遊について「(首相は)『検討している』との話だった」と明かしている(ロイター 7月9日)。9日正午の時点で外遊の中止を決断していなかったということになる。

安倍晋三 首相
「政府一丸となって、災害発生以来、全力で取り組んできた」

産経ニュース 7月11日

©時事通信社

 問題視されているのが、気象庁が緊急会見を開いた5日の夜に開催された自民党議員の懇親会「赤坂自民亭」だ。

 衆院宿舎の会議室に食べ物やお酒を持ち寄るもので、安倍晋三首相のほか、岸田文雄自民党政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、上川陽子法相、吉野正芳復興相らが顔を揃えた。猛烈な勢いで豪雨による災害が広がっている最中、政府首脳は酒を酌み交わして盛り上がっていた。

 11日、西日本豪雨への政府対応の初動に遅れがあったのではないかと記者団に問われた安倍首相は「政府一丸となって、災害発生以来、全力で取り組んできた」と全面的に否定。5日の「赤坂自民亭」について質問されると、「様々な課題があるが、まさに現場主義を徹底し、被災者生活再建チームを直ちに送った」と答えたという(朝日新聞デジタル 7月11日)。まったく答えになっていない。