7月の参院選では「日本人ファースト」を掲げた参政党が大躍進。「外国人政策」が選挙の大きな争点となり、他党もこの問題を無視できなくなった。8月下旬には、鈴木馨祐法相が、「外国人受け入れ政策の抜本的な見直し」に向けた報告書を公表。「日本人ファースト」は、にわかに日本政治の中心的問題に浮上している。

参政党は参院選で躍進した ©時事通信社

 直近の世論調査(産経新聞社とFNNが8月23~24日に実施)で参政党の支持率は9.9%。自民党に次ぐ2位で「野党第1党」となり、年代別では30代、40代で支持率トップだ。

 他方、「日本人ファースト」には、危険な排外主義につながるという批判もなされている。

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「文藝春秋」10月号では、緊急座談会「激論! 日本人ファーストを問う」を開催。参政党幹事長兼政調会長の安藤裕氏、関西国際大学客員教授の毛受敏浩氏、慶應義塾大学名誉教授の堀茂樹氏が出席した。

「日本人ファースト」という言葉に共感したのは…

 この席で参政党の安藤氏は、「日本人ファーストは排外主義ではないか」という批判に対し、こう反論する。

〈外国人を排斥するという意味ではありません。日本人の貧困化や少子化の問題を放置しておいて、「外国人を受け入れれば解決できる」というのはおかしいのではないか。「日本人ファースト」が有権者の心を捉えた理由はここにある〉

安藤裕氏 ©︎文藝春秋

 フランスの移民問題を分析したエマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』(文春新書)の訳者の堀氏も、

〈「日本人ファースト」という言葉に共感したのは、高学歴のインテリではなく、常識的に「自分は日本人だ」と思っている庶民や一般市民。今日の世界で「国家」なしに生きていける人間はいない。「国家などいらない」というのは幻想にすぎない。「個人」と「人類」の間には「国民」が存在する――「日本人ファースト」は、インテリたちが否定してきたこうした当然の現実を再認識する言葉です。この点で参政党の登場は、私にとって画期的なものでした〉

 と共感を寄せる。

堀茂樹氏 ©︎文藝春秋