職を失い、彼女にもフラれた赤口誠はある日、「仏滅結婚相談所」の社長・仏滅清志郎と出会い入社することに。人を幸せにする崇高な仕事かと思いきや、その実態は嘘にまみれた“婚活難民”たちの引き取り場だった……!?
WEBサイト「コミプレ」で連載中のコミック『仏滅結婚』(ヒーローズ)は、浅田有皆さんによる異色のヒューマンコメディだ。他の結婚相談所では引き取り手のない「負け組」婚活者たちが次々に登場し、読者の心を容赦なく揺さぶってくる。
欲望渦巻く人間模様が突きつける“リアル”とは——。担当編集者の平井さんに話を聞いた。(全4回の1回目/マンガを読む)
◆◆◆
綺麗なストーリーより、生々しい人間のエピソードを
——異色の婚活マンガ『仏滅結婚』。作者の浅田有皆さんから企画を持ちかけられたそうですね。
平井 「恋愛弱者だらけの婚活マンガ」。そのコンセプトを聞いた瞬間、「ドラマ化したら面白そう!」と即OKしました。浅田先生とはもともとヒーローモノや音楽モノを企画していたのですが、打ち合わせの中で「綺麗なストーリーより生々しい人間のエピソードが読みたいよね」と意見が一致し、本作が生まれました。自分に自信がなかったり、性格にクセのある人たちがどうやって婚活するのか、シンプルに興味が湧いたのもあります。
企画が固まってからは、ドラマ化を目指してキャラを作ったり、ドラマの尺に合わせてプロットを構成したり、タイトルも“民放ドラマっぽさ”を狙って『仏滅結婚』とつけたりと、入念に内容を詰めていきました。そして連載2年が経った今、ドラマのオファーは1件もありません。何故でしょうね。悔しいです。
——平井さんから見て、作者の浅田有皆さんはどのような方ですか?
平井 もともと浅田先生はバンドマンだったので、突拍子もないアイデアが次から次へと出てきます。例えば第10話(関連記事から読むことができます)の冒頭に、“監禁男”こと冴島肥禿の自作ミュージックビデオが出てくるのですが、その歌詞や映像は常人では思いもつかない内容です。
監禁癖のある知人や人気SM嬢など、浅田先生の周りには『仏滅』クラスの濃い人がたくさんいたそうで、キャラクターにはそんな方々の個性が反映されているのだと思います。
「嫌な気分にさせられることもあるが…」読者からの意外な反応
——誰もが当事者になりうる婚活の世界。登場人物たちの言動は、読者の心を揺さぶるものがあります。
平井 他社作品になりますが、「婚活版の『闇金ウシジマくん』っぽい」とか「恋愛モノの『笑ゥせぇるすまん』みたい」と言われたのはうれしかったですね。どちらも生々しい人間模様を描いた名作ですので、並べていただき光栄です。
あとは、「嫌な気分にさせられることもあるが、直視すべき問題を突き付けてくる漫画だ」というコメントもうれしかったです。読者の気持ちを良くも悪くも揺さぶるような、そんな作品を目指したいです。


