「どのご家庭でも子どもが大きくなってくると、『狭いから』って出て行ったりとかね」

 日本人が抜けていった部屋に、中国人が入って来るようになった。

「新規に入りたい人の申し込みの方法も20年ぐらい前からインターネットが使われるようになって、中国の人は慣れているのかな、どんどん申し込んでくるようになった。最初は日本で在留資格を取った夫婦が入って、子どもができると、子守りをするおじいさん、おばあさんを呼ぶ、そうやって増えていった。子守りをする人は、日本に住んでいるのではなく、短期滞在で日本と中国を行き来しているんです」

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「東京外かく環状道路」周辺に形成された外国人コミュニティ ©文藝春秋

盆踊りに中国人の子が集う

 中国人が増えたことによって、日本人の居住者との間にトラブルは発生しなかったのだろうか。

「今は、何にもないんですよ。以前は、たとえばゴミの問題がありました。玄関前にポッと置いてそのままの人がいっぱいいた。あとは騒音の問題。注意しに行くと、『日本の団地の天井や壁が薄いせいだ』なんて言われたりね。だから、こちらも中国語のルールブックを作ったり、根気強く日本の常識を説明した。それでもルールを守らないと、URとも相談して、『出て行ってもらっていいですよ』と伝えています。

 そうした問題を解決するのに、7、8年はかかったんじゃないかな。この仕組みには中国人留学生も含めた学生さんが協力してくれているんです。学生さんには、この団地を卒論のテーマにしている人もいて丁寧に取り組んでくれています」

出典元

文藝春秋

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