9月6日、開催中の大阪アジアン映画祭でタイ映画『紅い封筒』が上映された。タイの人気スター、ビルキンとPPクリット主演とあってオンラインチケットは早々に完売。台風一過の晴天の下、多くの観客が詰めかけた。上映後には同作のプロデューサー、バンジョン・ピサンタナクーン氏が登壇。製作の経緯やビルキンらの撮影現場の様子などについて、観客からの質問に答えた。

登壇したピサンタナクーン氏(右) ©OAFF EXPO2025-OAFF2026

◆◆◆

ビルキンとPPクリットが一緒にいるととても楽しい

 本作は日本でも公開された台湾映画『僕と幽霊が家族になった件』(23年)のリメイク。中国や台湾など中華圏に残る風習である「冥婚」(未練を残して亡くなった死者を成仏させるなどの意味で、死者と死者、死者と生者を婚姻させる)。プッティポン・アッサラッタナクン(愛称:ビルキン)演じる警察の情報屋・メンが、落ちていた紅い封筒を何気なく拾ったところ、ひき逃げ事故で亡くなったゲイのティーティー(クリット・アンムアイデーチャコーン、愛称PP)と冥婚することになってしまう。ティーティーの幽霊が付きまとい始め焦ったメンは、ひき逃げの犯人を捜し始めるのだが――、というお話。

ADVERTISEMENT

『紅い封筒』

 『愛しのゴースト』『女神の継承』などの監督でもあり、これまでにも何度か大阪アジアン映画祭に参加しているピサンタナクーン氏。まず大阪に戻ってこられたことへの喜びと感謝を述べ、本作の製作のきっかけを語った。

「そもそも、オリジナルの台湾版を観たのは2年前、香港の映画祭でした。観ている最中に、すぐに『この映画をビルキンとPP主演でリメイクしたい』と思ったんです」

 共演したBLドラマでブレイクし世界的なスターとなった2人。

「私は2人のことをデビュー当時から知っていて、すごく面白いと思っていました。たとえば2人が一緒にインタビューを受けているときなど、お互いに突っつき合ったり、からかい合ったりしている様子がとても楽しくて、この映画のキャラクターに重なりました」

©OAFF EXPO2025-OAFF2026

大爆笑のあとしんみりさせる

 リメイクにあたりコメディ要素を強めたという。

「そして、リメイクするなら、この物語をタイらしいスタイルのコメディにしたらどうなるだろう、と考えました。タイの文化に落とし込んだタイバージョンを作れば、きっとすごく大胆でユニークな作品ができるでしょう。私自身、単純にそういう映画が観たいと思ったのが、リメイクを決めた理由です。

 台湾版はコメディの要素もありましたが、アクションの要素が強かったと感じました。なので、タイ版ではコメディの比率を上げて、タイらしいジョークをたくさん取り入れました。もちろん、それは台湾版にはなかったものです」