大阪万博に合わせ、3月に続き今年2回目の開催となった大阪アジアン映画祭。8月30日には武田梨奈主演『シャンバラストーリー』のワールド・プレミア上映が行われた。日本へ来たチベット修道僧と様々な問題を抱えた日本人女性の愛を描く本作は、2017年に製作を開始して以来、約7年を経ての完成。上映後には主演の武田梨奈さん、関根俊夫監督、脚本・プロデューサーの藤原環さんが登壇した。
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武田梨奈が読み上げたモー・ズーイーからの手紙
上映後の舞台挨拶に立った武田さんは、こう語った。
「本日はお越しいただきありがとうございます。私も今皆さんと一緒に初めてスクリーンで観たんですけど、本当に長い時間をかけた、全てのキャスト、スタッフの皆さんの思いがこもった作品を皆さんと一緒に観ることができてすごく幸せです」
映画はインド北東部ヒマラヤの麓にある、ダージリンの村の風景から幕を開ける。世界最古の山岳鉄道や、紅茶の産地として知られる地区。ここにあるチベット仏教の寺院の内部や修道僧たちの暮らしの様子がドキュメンタリー・タッチで描かれ、台湾人俳優モー・ズーイー演じる修道僧タシが、日本へ派遣されることになる。
もともとチベットに親しみ、知己も多かった関根監督は、いつかここで映画を作りたいと思っていたが、2017年に本作の脚本が完成。現地の様々な寺院と交渉したが、なかなか撮影許可が下りなかったという。
「チベットのお寺は全て修道院で、ドキュメンタリーならOKだと。ところが、俳優が僧衣を着て、修道僧の中に混じってお祈りをするなんてとんでもない、と。その許可を取るだけで1年かかりました」(関根監督)


